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渥美藍さんと母の美紀さんが、福島県からの避難前後の生活についてつづった本
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渥美藍さんと母の美紀さんが、福島県からの避難前後の生活についてつづった本

 東日本大震災で被災し、福島県から兵庫県姫路市へ自主避難した親子が、震災後の歩みを1冊の本にまとめた。福島第1原発事故後は被ばくを恐れて、友人や家族との関係に深い溝が生まれた。震災から9年。風化を恐れ、「コミュニティーを分断した影響はいつまでも消えない」と訴える。

 本はA5判144ページ。福島県郡山市出身の渥美藍さん(20)と母親の美紀さん(46)が出版した。「ありのままの自分で」と題して、避難に至る経緯や心境の変化などを振り返る。

 2011年3月11日。藍さんは小学校、美紀さんは自宅で地震に遭った。震度6弱の揺れに恐怖を覚えたが、けがはなかった。

 転機は4月。当時の内閣官房参与が専門家の立場から、政府が決めた被ばく線量の基準(年間20ミリシーベルト)に涙ながらに抗議し、辞任した。

 驚いた美紀さんは以来、藍さんの登下校を車で送迎し、屋外での体育や遊びを禁じた。ただ、「『危険だ』という人が少なくなる中、放射能への考え方がいじめの理由になった」という。藍さんの中学進学に合わせ美紀さんの故郷である福島県田村市に引っ越したが、家庭菜園の野菜を勧める実家と、拒む美紀さんとの間にぎくしゃくした空気が流れた。

 2人は13年8月に自主避難。藍さんは兵庫県市川町の民間教育施設「まっくろくろすけ」に通う。「デモクラティックスクール」と呼ばれ、校則や行事を全て子どもとスタッフが話し合って決めるため、「少しずつ自分の考えを発言できるようになった」。高校卒業認定試験に合格し、オーストラリア留学を経て、今は心理カウンセラーを志す。

 美紀さんは介護福祉士として働きながら藍さんの成長を見守る。兵庫では原発賠償訴訟の原告になり、避難者の支援活動にも携わる。一方、父親の介護で田村市には今も2カ月に1回程度帰る。「地元に残る人もそれぞれに思いがある。私たちの判断はあくまで一例。原発事故や教育について考え、風化を防ぐ一助になれば」とする。

 本は800部発行。税抜き1400円。美紀さん(arinomama.2020@gmail.com)(井上太郎)

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