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樋口由紀子さん編著「金曜日の川柳」。川柳のイメージを一新するポップな造本だ
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樋口由紀子さん編著「金曜日の川柳」。川柳のイメージを一新するポップな造本だ

 〈ほんものの息子は電話してこない〉。現代川柳界きっての論客、樋口由紀子さん(67)=兵庫県姫路市=が、初心者向けの川柳選集「金曜日の川柳」を出版した。戦前の名句から若手の近作までを含めた333句を簡潔かつ明快に論評。読めばきっと、川柳という文芸の見方が変わるに違いない。(平松正子)

 樋口さんは大阪出身。故時実新子さんの主宰誌「川柳展望」同人などを経て、1998年「MANO」を創刊。川柳Z賞大賞や川柳句集文学賞を受けた。現在は「晴」編集発行人、「豈」「トイ」同人。句集に「容顔」「めるくまーる」などがある。

 本書は、2011年5月から始まったウェブマガジン「ウラハイ=裏『週刊俳句』」の連載を加筆修正して単行本化。1ページに川柳1句と作者名、下に樋口さんの寸評を載せたシンプルな構成となっている。

 何句か引いてみると…。

 〈乳のある方が表でございます〉(草地豊子)=評・インパクト抜群、何度読んでも降参するしかない。

 〈おにぎらず安保法案でき上がる〉(都築裕孝)=評・言葉のいいかげんさと嘘っぽさでふたつをつないだ。肩肘を張っていないのが川柳らしい。

 〈戦死者の中のわたしのおばあさん〉(松永千秋)=評・男性だけでなく「銃後の守り」という大義名分のもと、多くの女性が死んでいった。全てが戦争の犠牲者。

 〈お悔やみのあとで体重計に載る〉(菊地良雄)=評・淡々と現実を立ち上げ、生きていくことの根っこに触れている。

 (以上敬称略、評は要約)

 樋口さん自身の作も1句だけ入っている。〈永遠に母と並んでジャムを煮る〉。12年末、母親が亡くなった直後にウェブ上に載せた。「私はよい娘ではなかった」と明かし、「もう母とジャムを煮ることはない」とつづる。

 ウェブでの連載は現在も継続中。樋口さんは「現代川柳の多様さを示す句を選んだ。川柳は俳句とかたちは同じだが、詩形に求めるものが違う。こんなに大きな世界を川柳で描けるんだと知ってもらい、新しい読者の入り口となればうれしい」と話す。

 左右社刊、1760円。

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