兵庫県姫路市が、市の中心部を管轄する姫路東消防署(姫路市本町)の老朽化対策を検討している。姫路城の防災保安拠点としての役割が大きく、市は現地を含めた近隣での建て替えを軸に、2024年度の着工を目指して調整を進める。
市によると、同署は姫路城の中曲輪に位置し、国指定「特別史跡」の範囲に含まれる。姫路駅北側の繁華街などを管轄する市内最大規模の消防署で、姫路城で火災などが発生した場合も消火活動の中心となる。
約4千平方メートルの敷地には現在、本庁舎と付属棟、倉庫棟が建ち、いずれも築30年を超える。1999年度に耐震化工事をしているが、鉄筋やモルタルの劣化が目立つようになり、建て替えの検討を始めた。
市消防局は昨年秋の沖縄・首里城火災を踏まえ、通報から数分で駆け付けられる点を重視。ただ、特別史跡内は地中の遺構保存の観点から工事の制約が多く、条件の精査などが課題という。
特別史跡の保存活用計画を有識者らが話し合った3月中旬の会合では、同署の老朽化対策も議題に上がった。出席者からも防災拠点としての重要性を理解する声が相次ぎ、市の担当者は、同署の南約400メートルにある旧姫路警察署の土地を活用する案を挙げた。(小川 晶)
