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椎名麟三の生々しい肉筆原稿。館内の端末で自由に閲覧できる=姫路市山野井町
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椎名麟三の生々しい肉筆原稿。館内の端末で自由に閲覧できる=姫路市山野井町

 戦後文学を代表する作家・椎名麟三(1911~73年)の資料を多数所蔵する姫路文学館(兵庫県姫路市山野井町)で、直筆原稿や創作ノートなどのデータ化作業が完了した。館内の端末で自由に閲覧できるほか、申請が認められれば個人のパソコンで見ることも可能。同館は「椎名文学の研究がさらに深まれば」と期待する。

 椎名は同市書写の母方の実家で生まれた。姫路中学(現姫路西高)3年の春に家出。労働運動による投獄を経て、戦後の47年に「深夜の酒宴」でデビューした。自伝小説「自由の彼方で」「美しい女」を執筆中の54年、28年ぶりに帰郷。63年には姫路城改修記念ミュージカル「姫山物語」を創作、上演した。

 椎名の関連資料は2012年夏、遺族が同館に寄贈。作家デビュー前の習作から遺作までの直筆原稿、思想形成に大きく影響した西洋哲学書の読書メモ、家族や友人らと交わした書簡など多岐にわたる。同館では16年の改修工事を機に、デジタルアーカイブ化を進めてきた。

 データ化して公開されている資料は、原稿241件、書簡31件、写真38件など計331件。

 自筆原稿は1938年の「島長の家」に始まり、主要作品をほぼ網羅。引きちぎったノートに米粒ほどの小さな文字でびっしりと書き込まれた草稿からは、文学に懸ける執念が感じられる。戦時中に読み継いだニーチェやドストエフスキーについての論考は「文学論覚書」と題して製本してあり、いつか世に出したいとの熱意も伝わる。

 一方で、妻に宛てた手紙には、旅先で見た風物や子どもへの思いをつづるなど、家庭人としての顔もチラリ。また講演原稿では、自由や愛の意味について繰り返し説くなど、キリスト者らしい謹直さが見られる。

 椎名については先月29日、地元の研究グループ「椎名麟三を語る会」が解散したばかり。学芸員の玉田克宏さん(60)は「データ化したことで傷みなどを気にせず、多くの人が利用できる。『語る会』の活動を生かすためにも、残された資料から何かを生み出したい」と話す。

 資料は、使用目的を明記して同館にメールなどで申請し、許可を得ればホームページから閲覧できる。同館TEL079・293・8228

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