新型コロナウイルスの感染拡大が家計にダメージを及ぼす中、兵庫県姫路市内の一部企業に社員へ一時金を支給する動きがある。緊急事態宣言は延長される見通しで、日常を取り戻すのはしばらく先になりそうだが、「こんな時だからこそ」と社員に前向きなメッセージを発信し、難局を乗り切る狙いのようだ。(井沢泰斗、安藤真子)
金属部品メーカー「松本製作所」(同市飾東町八重畑)の松本和樹社長(38)は、グループ会社を含めた社員約160人に1日付で一律10万円を支給した。1963年創業の同社は産業用ガスタービンの部品が主力で、近年は航空機事業にも参入。子会社の設立や買収による経営基盤の強化もあり、売り上げは成長基調を保ってきた。
一方、感染が広がる中でも製造現場の社員は在宅勤務ができず、生産ラインの消毒など対策を徹底した上で仕事を継続してもらうことに。他のメーカーと同様、同社も新型コロナの影響で材料の供給が滞っており、景気悪化で商品自体の需要が落ち込む不安もあったが、松本社長は一律支給を決断した。
「まずは家族の不安解消や家庭での感染対策に当ててほしい。テークアウトの食事を利用するなど、地元経済にも貢献してもらえたら」と思いを語る。
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姫路を中心にスーパー「ボンマルシェ」と「プチマルシェ」計15店舗を展開する銀ビルストアー(姫路市南町)は、「いつもありがとう手当」と題し、パートやアルバイトを含む全従業員に一律5千円とマスク7枚を贈った。
コロナ禍が続く中、スーパーは地域住民の暮らしを守る“ライフライン”となっている。感染リスクに注意しながら営業継続を支える従業員に感謝を伝えようと支給を決めた。
取締役の大塚兼史さん(33)は「従業員を大切に思う気持ちが、店舗の内外に広がれば」。姫路店で受け取った勤続10年の女性(42)は「従業員への愛を感じた」と笑顔を見せた。
今回の支給は第1弾で、今後は除菌用アルコールなど不足しがちな必需品の支給を検討している。
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