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従業員が力を合わせて製造してきた花火。披露の場を失い、三木章稔さんは悔しさを隠し切れない=太子町上太田
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従業員が力を合わせて製造してきた花火。披露の場を失い、三木章稔さんは悔しさを隠し切れない=太子町上太田

 「花火玉は作るというより育てる感覚です。子どもの成長のように手間と時間がかかる。この尺玉は本当なら姫路の夜空に打ち上げるはずでした」

 花火師三木章稔(たかとし)さん(35)の表情が曇る。70年前に創業した三光煙火製造所(兵庫県姫路市大津区天満)の太子工場(同県太子町上太田)は繁忙期の活気がない。頑丈な倉庫には、昨秋から製造してきた3万発が眠った状態だ。

 同社が今年受注した約70カ所の花火大会は9割以上が中止に。密集がつきものだけに来年以降の復活も見通せない。長期保存が難しい花火玉はこのままなら分解することになるという。

 全国の同業者も厳しさは同じ。6月には事前周知をせず全国一斉に打ち上げる取り組みに参加した。悪疫退散を願う75発がたつの市の夜空を焦がした。

 「冥利(みょうり)に尽きるのは見る人の歓声が聞こえた時。そんな本来の花火大会の姿がいつ戻るか」と三木さん。「季節を問わず小規模で開催するなど、新しいスタイルを模索しなければ」。出番を待つ“わが子”たちを見つめた。(小林良多)

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