姫路

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所蔵する端午の節句飾りを前に「貴重な文化遺産を散逸させてはならない」と話す井上重義館長=姫路市香寺町中仁野
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所蔵する端午の節句飾りを前に「貴重な文化遺産を散逸させてはならない」と話す井上重義館長=姫路市香寺町中仁野
コロナ禍による来場者減で、深刻な財政難に陥っている日本玩具博物館=姫路市香寺町中仁野
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コロナ禍による来場者減で、深刻な財政難に陥っている日本玩具博物館=姫路市香寺町中仁野

 世界160カ国のおもちゃや人形など約9万点のコレクションを誇る「日本玩具博物館」(兵庫県姫路市香寺町中仁野)が、コロナ禍(か)による来館者数の激減を受け、深刻な財政難に陥っている。館では、これまでの歩みや現在の窮状を伝える冊子を作成。地元市民や関係者らに働き掛け、「社会の宝」である所蔵品を後世に継承する道を模索している。(平松正子)

 井上重義館長(81)が1974年、自宅の一部で「井上郷土玩具館」として開設。その後、白壁土蔵造りの展示館6棟を増築し、84年に「日本-」と改称した。95年の阪神・淡路大震災後には、被災したひな人形を多く救出。98年には博物館法による博物館相当施設に指定され、サントリー地域文化賞や兵庫県文化賞、日本人形玩具学会賞などを受けている。

 開館以来、入館者数は伸び続け、83年に2万人、90年には6万人を突破した。しかし、91年の7万9千余人をピークに減少に転じ、香寺町と姫路市が合併した2006年には約3万3千人に。近年は2万人を割り込む状況が続いていた。

 来場者減について井上さんは「後発の公立館が子どもを無料化したり、合併後にバスが減便になったりした影響が大きい。16年に『ミシュラン・グリーンガイド』の二つ星を獲得するなど、決して館の魅力が低下した訳ではない」とする。

 そこへ追い打ちを掛けたのが新型コロナだった。感染拡大を受けて同館は、3月7日~5月22日に臨時休業。昨年同時期には約5300人が訪れ、入館料と売店で計約300万円の収入があったが、今年はそれがゼロになった。再開後も客足は戻らず、平日では10人に満たない日もあるという。

 幸い、公益財団法人「神戸文化支援基金」からこのほど、20万円の助成金が得られたため、冊子を作ることに。かつて井上さんが郷土玩具愛好会の機関誌に連載し、08年に発行した冊子「私の玩具遍歴」に、入館者数の推移やコロナ禍による打撃を加筆して増刷。博物館学や児童文化の研究者らに送った。

 送付先の一人で、江戸子ども文化研究会主宰の中城正堯(まさたか)さんは「同館は日本の伝統的子ども文化の豊かさを世界に示す唯一無二の存在。貴重な文化遺産が末永く保存活用されるよう、公立施設に移管されるのが望ましい。市民や文化人、行政も動かして運動を起こすべき」と提言する。

 井上さんは「私設博物館の運営は厳しく、今まで独立採算でやってこられたのは奇跡。所蔵品は私自身が集めたものだが、個人の所有物ではなく社会の共有財産だ。広く助言や支援を募り、散逸させることなく後世に引き継ぎたい」と話している。

 同館では10月25日まで特別展「日本の祭礼玩具と節句飾り」を開催中。一般600円。水曜休館。同館TEL079・232・4388

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