姫路

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営業終了間際の姫路市民プール・ひめじ手柄山遊園。別れの時が刻一刻と迫っている=姫路市西延末
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営業終了間際の姫路市民プール・ひめじ手柄山遊園。別れの時が刻一刻と迫っている=姫路市西延末
アルバイト時代を振り返る藤本さん夫婦。「夏なのに冷たくて、きれいなプールを思い出します」=姫路市西延末
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アルバイト時代を振り返る藤本さん夫婦。「夏なのに冷たくて、きれいなプールを思い出します」=姫路市西延末
プールの底にメッセージを書き込む女性たち=姫路市西延末
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プールの底にメッセージを書き込む女性たち=姫路市西延末

■近づく別れ、あと1週間

 傾きだした西日が、観覧車をオレンジ色に染める。閉鎖まで2週間を切った8月24日夕、手柄山の遊園地(兵庫県姫路市西延末)。縁日イベントの射的コーナーには、営業終了の間際まで満喫しようとゲームに没頭する子どもの姿があった。

 姫路市の山辺一真君(10)、拓斗君(7)兄弟。何発かでようやくラムネ菓子に命中させ「当たった、当たった」と大はしゃぎ。見守る母和美さん(42)が「もっともっと連れてきたかったんですけどね」とつぶやく。

 家族にとって、遊園地はいつも近くにある場所だった。いつでも行けるからと、息子2人は市民プールに入ったことはない。「スライダーを滑ってみたかった」と、一真君は悔しそうな表情を見せた。

 本紙読者らがつづったエピソードにも、愛情、惜別、スタッフへの感謝とさまざまな感情がにじんだ。

 何度もお世話になりましたが、なぜかスタッフさんとの思い出がない。それでも楽しかった記憶しかないのは、きっと遊ぶ私たちを主役にしてくださっていたのでしょう。裏方の大変さを見せないようにしておられたのだと思います。(50代女性)

 おばあちゃんの入院する病院に向かう途中、車の窓から遊園地が見えて、いつも気持ちを和ませてもらっていました。(40代女性)

 中にはひときわ強い思い入れのある夫婦もいる。

 8月27日の夕方、10年ぶりに訪れた同市の藤本明男さん(54)、麻里さん(53)。「この場所は人生の一部であり、私たちの青春でもあるんです」。そう言って、懐かしそうに園内を見渡した。

 約30年前、ともに遊園でアルバイトをしていた。入場者が1日に1万人を超えると、「大入り袋」が配られたという。当時のバイト仲間は約120人。2人はそれほど親しくなかったが、数年後に開かれた同窓会が縁で交際に発展した。

 娘3人が生まれると、一緒にプールで泳ぎ、「お父さんとお母さんは昔ここで働いていたんだよ」と話して聞かせた。その長女がこの夏、結婚した。できることなら、孫ともプールで遊びたかった。

 「今でも信じられないし、もったいないという思いもあるんです」と麻里さんがぽつり。「でも、時間の流れですよね」。引き取った明男さんの目に、うっすら涙が浮かんだ。

    ◇

 8月上旬に始まったお別れメッセージの“落書き”はプールの壁面を埋め尽くし、ジェットコースターの橋脚にも広がっていた。

 「大人になるまでずーっと楽しい思い出がいっぱい。姫路がどんどん変わっていく気がします」

 「ジェットコースターはここでデビュー。閉じるのはさみしい…復活しないかなあ」

 「これからも心の中に残り続ける。ありがとう!!」

 縁日でスーパーボールすくいに興じる子どもがいれば、ハート形のベンチに照れる娘を座らせ、スマホを向ける父親もいる。

 感傷的な雰囲気と、日常の光景とが混じりながら、手柄山が暮れていく。歴史を刻んで半世紀近く。9月6日の閉鎖へ、いよいよカウントダウンが始まった。(山本 晃、安藤真子、小川 晶)

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