姫路

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絹の光沢と繊細な絵付け。あでやかさに祭りの高揚感がにじむ=姫路市網干区垣内東町、呉服店「しばやま」
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絹の光沢と繊細な絵付け。あでやかさに祭りの高揚感がにじむ=姫路市網干区垣内東町、呉服店「しばやま」

 この世に1点しかない晴れ着が輝いていた。兵庫県姫路市網干区の呉服店。今月初め、両親と訪れた旭陽小6年の男児(12)は出来栄えをじっと確かめた。

 一筆一筆絵付けされた京友禅。雄々しいトラが眼光を放つ。「うん、いいな」。はしゃぐでもない、かみしめるような声を漏らした。この秋、一生に一度の大役が回ってくるはずだった。

 毎年10月21、22日に開かれる魚吹八幡神社(同区宮内)の秋季例祭は今年、神事以外は中止となる。「3密」を生む屋台の巡行は見送られ、太鼓を打ち鳴らす乗り子も出番を失うことになった。

 乗り子は神聖な存在として扱われ、2日間のためだけに用意した衣装をまとう。男児が誕生すると衣装代を積み立てる家庭も多いという。長い裾は一幅の掛け軸のように屋台から垂れ下がる。龍、鳳凰、風神雷神、七福神。背中に描かれた絵が「動く工芸品」をひときわ豪華に装飾する。

 男児は小学校低学年から太鼓の練習に通い、響くリズムのとりこになった。昨秋は1歳上のいとこの姿を見て「来年は僕の番」と胸を膨らませた。「地域の一員としての自覚を身に付けてほしい」。両親もそんな願いを込めて背中を押してきた。

 乗り子役を来年に繰り越すかは地区ごとの判断となる。「着物の出来は満足。大事にしたい」と男児。自宅に親類らを集めて開くささやかなお披露目の会が「ハレの日」となる。(小林良多)

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