姫路

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ゼクシィ創刊時の思いや苦労話を明かす渡瀬ひろみさん=姫路市本町
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ゼクシィ創刊時の思いや苦労話を明かす渡瀬ひろみさん=姫路市本町
ゼクシィ創刊時の思いや苦労話を明かす渡瀬ひろみさん=姫路市本町
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ゼクシィ創刊時の思いや苦労話を明かす渡瀬ひろみさん=姫路市本町

 今や結婚情報誌の代名詞とも言えるのが、リクルートマーケティングパートナーズ(東京)の発行する「ゼクシィ」だ。式場の紹介にとどまらず、結婚費用の相場や花嫁の失敗談、人気のドレスや指輪まで幅広い情報を掲載し、ブライダルシーンをけん引し続けてきた。そのゼクシィをリクルート在籍時の1993年に生み出したのは、兵庫県姫路市出身で、現在は都内でコンサルティング会社を経営する渡瀬ひろみさん(55)。このほど市内で開かれた講演会で、創刊時の思いや苦労を明かした。

 ▼原点は友人の結婚式

 ブライダル業界に興味を持ったのは入社4年目の頃です。当時は友人が次々と結婚し、出席すると感動して涙を流すこともあった。

 ところが回を重ねると、ある疑問が浮かびました。どうして親しくもない仲人がいて、新郎新婦を堅苦しく紹介しているのか。全国から旧友が集まってもおしゃべりできず、ただ偉い人のあいさつや余興が続く。

 こんな結婚式を皆望んでいるのか、楽しく自分らしい式を当たり前にするには、情報誌だと思いました。

 ▼最初の壁は「社内神話」

 しかし、当時のリクルートには「ブライダルには手を出さない」という社内神話があった。増減がなく代わり映えしない式場で情報誌をつくると、毎号同じ内容になってしまう。広告市場が小さく、前例もない-というのが理由でした。

 そこで広告ニーズを探るため、都内の大手式場やホテルを訪ねました。ある支配人に手を握られ、言われたせりふが強く残っています。「あなたがやろうとしていることを諦めないで」

 ▼見えた業界の課題

 当時はカップルが結婚式場を探すには、式場紹介サロンに行くしかなかった。理由は情報媒体がなく、式場の相場が分からないから。サロンは相談無料で、成約できれば高い仲介手数料が式場から支払われます。

 結果、各地域でサロンが地元の式場紹介を一手に握り、業界の都合で消費者が操作されるようになった。式場も実は手数料を払いたくない。独自に消費者とつながろうとした式場はいじめられ、実際に埼玉県で行動に出たホテルは紹介サロンから「施設も古いし料理もおいしくない」と中傷されていました。

 支配人は「僕たちだって、カップルが情報誌を見比べて見学に来てくれたらと思う」と言いました。

 ▼「ゼクシィ」創刊へ

 調査をもとに新規事業の企画書を提出しましたが、役員の審査は落選。それでも「結婚式はもっと面白くなる」という思いに賛同した同僚や上司の協力で、プロジェクトを続けられた。

 苦労したのは広告探し。どの式場もホテルも、業界に謀反を起こすような行為を怖がっていた。逆に紹介サロンから広告掲載の営業はありましたが、「筋が違う」と断りました。

 発売の1週間前、製本所で手にした創刊号は今の5分の1くらいの薄さでしたが、ほやほやで温かかった。発案から1年1カ月。諦めなかったから、その日を迎えられました。

 ▼変化した業界

 ゼクシィで取り組んだのは価格の透明化です。共通項目を設け、各式場の見積もりを掲載。最初は笑われたが、消費者が式場を見比べ、サロンを通さず直接つながるようにしたかった。

 追い風もありました。レストランやゲストハウスなど新たな式場が登場し、広告費を出してくれた。メディアの登場で、ホテル内のドレスショップだけでなく街中の店舗や宝飾店が売り上げを伸ばしました。そして、紹介サロンは次々と廃業していきました。

 新しい事業や商品を生み出すときは、まず慣習を疑ってほしい。結婚式も、儀式よりパーティー、格式より感謝を前面に出した方がいい。「世の中をこうしたい」と帆に書いて船を出せば、世間が風を送ってくれるんだと知りました。(まとめ・井沢泰斗)

【渡瀬ひろみ】1964年、姫路市出身。姫路西高校、京都大学を経て88年にリクルート入社。入社6年目で「ゼクシィ」創刊に携わる。現在は大手企業向けの新規事業コンサルティングを手掛ける「アーレア」(東京)代表取締役。姫路ふるさと大使も務める。

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