26年間、本当にありがとう-。姫路市立動物園(兵庫県姫路市本町)のシンボル的存在として長年愛され、10月下旬に43歳で衰弱死したメスのアジアゾウ「姫子」のお別れ会が18日、園内のゾウ舎前広場で開かれた。満開のサクラの下で鼻を高く上げる姫子の写真が掲げられ、飼育員や市民らが思い出を振り返った。(田中宏樹、山本 晃)
タイ生まれの姫子は、初代が1994年1月に死んだため、同年10月に姫路へやって来た。2018年に患った足の病気が今年6月に再発し、10月24日に息を引き取った。園には市民らから約3600通の追悼メッセージが届いた。
お別れ会には飼育員や市民ら約90人が参加。安井聖二園長(57)は、秋晴れだった10月21日朝、姫子がゾウ舎の出入り口で日光浴をしていた様子を思い返し「本当に気持ち良さそうだった姿が忘れられない。長い間、ありがとう」と言葉を贈った。
続いて94年から一貫して飼育に携わった職員河野光彦さん(54)もあいさつに立ち、「姫子はいろんなことができると、得意げな顔をしているように見えた」と懐かしんだ。死後、献花台には花や果物が途切れることなく供えられ、お別れ会にも多くのファンが足を運んでくれた。「きっと今ごろ、どや顔をしてるんじゃないかな」と頬を緩めた。
姫子が日中を過ごした運動場には、寄せられたメッセージを張り付けた等身大のパネル3点もお目見え。園の窓口で約10年前まで働いた女性(73)=姫路市=は「姫ちゃんは園で一番の華だった。声を掛けると鼻を上げてくれて、鼻水を飛ばされたこともある」と笑い、「天国でゆっくり休んでほしい」と願った。
園内の休憩室では来年1月31日まで、姫子が園で暮らした26年間を振り返る写真展が開かれている。同園TEL079・284・3636
