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「究極のマル」を描いた70年代の作品を見る小野田イサさん=姫路市立美術館
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「究極のマル」を描いた70年代の作品を見る小野田イサさん=姫路市立美術館
小野田實さん
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小野田實さん
手書きのマルが凹凸のある画面を埋め尽くす60年代の作品群=姫路市立美術館
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手書きのマルが凹凸のある画面を埋め尽くす60年代の作品群=姫路市立美術館

 円形による表現を追求し、現代アートの可能性を広げた兵庫県・姫路ゆかりの前衛画家・小野田實(みのる)さん(1937~2008年)の青年期から最晩年までの画業を振り返る過去最大の回顧展が、姫路市本町の市立美術館で開かれている。無数の「マル」が画面を埋め尽くす抽象画など約240作品を紹介している。6月20日まで。(地道優樹)

 旧満州で生まれた小野田さんは、終戦前年に7歳で姫路に帰郷。白鷺(はくろ)中学時代に画家を志し、姫路高校を卒業後、大阪の美術学校でデザインを学んだ。今展では、学生時代の写実的な油彩画など「マル前夜」から作風の成り立ちをたどる。

 抽象画を描き始めたのは姫路市野里にアトリエを構えた1960年代から。61年発表の「繁殖絵画論」で小野田さんは、工場で大量生産される製品の「膨大な無意味」をイメージ化しようと、無数の円と線を題材に選んだと記している。

 会場には輪切りにした管を埋め込んだり、穴を開けた木の板を並べたり、おびただしい数の「マル」がずらり。小野田さんの長男で美術家のイサさん(48)は「父は『マルを描く』という行為をシステム化し、そこから自分が驚くような作品が生まれるのを楽しんでいた」と振り返る。

 65年からは戦後日本を代表する前衛集団「具体美術協会」に入り、72年の解散まで活動。凹凸のある画面をカラフルなマルで埋め尽くす、生き物のような作品を制作した。代表作と評価されることも多く、今展では約50点が楽しめる。

 70年代は、中心点から外側にシャープな同心円を重ね、色彩も青と緑に統一。大阪万博に出品された縦1・8メートル、横1・2メートルの大作など約40点を展示する。

 80年代から晩年にかけては円を描かず、代わりに作品に穴を開ける手法を確立した。色や形の違う板を張り合わせたり、黒いブロックを微妙なバランスで積み重ねたりした造形物は、どれもよく見ると大小の穴が開いている。イサさんは「どこに穴を開けるかで数カ月悩むこともあった。父の中では必然性があったのだろう」と回想する。

 近年の「具体」の再評価とともに、小野田さんの作品も英国のテート・モダンなど各国の美術館が購入する。不動美里副館長は「これほどの作品がそろうことは二度とない」と話した。

 午前10時~午後5時。原則月曜休館。一般800円、高校・大学生600円、小中学生200円。同館TEL079・222・2288

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