ロングセラー人気絵本の世界楽しんで 姫路で「ねずみくんのチョッキ展」
2021/06/20 05:30
ねずみくんたちと写真撮影できるフォトスポット=姫路文学館
姫路文学館(兵庫県姫路市山野井町)で19日、「ねずみくんのチョッキ展 なかえよしを・上野紀子の世界」(神戸新聞社など後援)が始まった。現在37巻まで続く人気絵本シリーズの原画やスケッチなど約180点を展示。心優しいねずみくんと、その仲間たちが繰り広げる温かな物語世界を楽しめる。8月15日まで。(地道優樹)
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第1巻の「ねずみくんのチョッキ」は1974年に刊行。お母さんが編んでくれた赤いチョッキをあひるくんやさるくん、ゾウさんたちに貸してあげるうちに生地が伸びきってしまうーという物語だ。児童文学作家のなかえよしをさんと、画家の上野紀子さん夫妻が共同で手掛け、シリーズは累計400万部を超える。
絵本の特徴は余白を生かした大胆な構図や、会話文だけでつづられるシンプルな文章。会場には鉛筆で描かれた原画がページ順に並び、登場キャラクターと一緒に写真撮影できるフォトスポットや、アトリエを再現したコーナーもある。
作者のメッセージをよく伝えるのが32巻の「ちっちゃなねずみくん」(2015年)だ。ある日、ゾウさんに尻尾を踏まれたねずみくんは「ぼくがちっちゃくてめだたないからいけなかったんだ」としょんぼり。大きなゾウさんやきれいなクジャクさん、個性的なパンダくんたちに憧れていると、ゾウさんがこう言う。「ぼくよりおおきくてりっぱなのはねずみくんだよ。じぶんのことより ほかのひとのことをおもえる りっぱなこころをもっているんだ」
同館の竹廣裕子課長補佐は「互いの違いをおおらかに認め合うという現代的なテーマを持ちつつも、最後にクスッと笑わせるオチが効いている。子ども心にもすっと受け入れられるのでは」と話す。
2019年に78歳で他界した上野さんが絵を手掛けた戦争絵本「ちいちゃんのかげおくり」の原画なども公開している。
一般700円。午前10時~午後5時。月曜休館。同館TEL079・293・8228