解熱鎮痛剤が各地で品薄に 新型コロナワクチン接種の副反応に備え
2021/06/26 05:30
アセトアミノフェンを含む製品が品切れになった解熱鎮痛剤の棚=姫路市駅前町、ゴダイドラッグみゆき通り店
新型コロナウイルスワクチンの副反応に備え、「アセトアミノフェン」を含む解熱鎮痛剤を買い求める人が増えている。兵庫県播磨地方のドラッグストアでも品切れや品薄状態が続く。マスク争奪戦や体温計不足に続く社会現象になりつつあるが、厚生労働省は発熱や痛みには、他の成分の薬も使用できるとの見解を示した。無理に在庫を探し求める必要はなさそうだ。(直江 純)
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「アセト-」は100年以上前に発見された医薬品で、長い歴史がある。医師が処方する場合は「カロナール」、市販薬では「タイレノールA」などの名称となる。低年齢や妊娠中・授乳中でも使え、胃への負担も少ない。
だが、「イブプロフェン」「ロキソプロフェン」などの「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」が市販薬にも転用されてからは、効き目が穏やかな「アセト-」は地味な存在になっていた。
状況が一変したのは、コロナワクチンの高齢者接種が本格化し始めた5月初めごろ。2回目接種の副反応として37・5度以上の熱が出るケースも少なくなく、口コミなどで「アセト-」の人気が広がったとみられ、高齢者を中心に買い求める人が増えた。
播磨を中心にドラッグストア78店舗を展開するゴダイ(同県姫路市)では、4種類の「アセト-」製品が以前の5倍程度の売れ行きになった。店員への質問も多く、売り場の棚には4種類を目立たせるポップを取り付けた。
仕入れ担当者によると、これまでこの4種類の売り上げは解熱鎮痛剤全体から見ると数%だったが「急に売れ始めて驚いた。できるだけ多く在庫を確保する努力をしている」と話す。他のチェーンでは「1グループ1箱まで」などと購入制限を設けている店もあり、品薄は全国的な傾向になっている。
こうした事態を受け、厚生労働省は今月18日までに一般向けのQ&Aを更新。副反応の痛みや熱には「市販の解熱鎮痛薬での対応も考えられる」として、使える薬の例に「アセト-」のほか「イブプロフェンやロキソプロフェンなど」のNSAIDsも挙げた。
県薬剤師会薬事情報センター(神戸市)は「ワクチン接種後も、症状が出ていなければ薬を飲む必要はない」と説明する。熱が出た場合も「『アセト-』なら胃などへの負担が少ないのは確か」と前置きしつつ「他のNSAIDsでも問題ない」と解説。心配な場合は、医師や薬剤師に相談するよう呼び掛けている。