一票に託す 2021年衆院選【1】10代
2021/10/16 05:30
吉田靖哉さん
19日公示、31日投開票の衆院選が近づく。子育て、就労、介護など暮らしを取り巻く課題はどれも切実。長引く新型コロナウイルス禍の影響は多岐にわたり、中山間地には過疎化に悩む地域も多い。兵庫県姫路・西播磨の有権者が一票に託す思いを世代別に聞いた。
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■国民の声を聞く場増やして 鋳物メーカー勤務・吉田靖哉さん(19)=姫路市
僕たちの世代は将来、年金ってあるんでしょうか。高校生の頃、おやじにそんなことを言われ、ずっと気になっています。その時は「年金がなくなるとかあり得るの?」と思いましたが、少子高齢化も進んでいるし、今は将来に不安もあります。
相生産業高校を卒業し、昨年4月に鋳物メーカー「虹技(こうぎ)」に入社しました。旋盤で金属を加工する工程に携わっています。
年を取ってからの生活に備え、職場の財形貯蓄制度で毎月2万円を積み立てています。ボーナスの支給月は5万円。それとは別に、自分で保険会社の財形商品にも加入しました。
実家暮らしなので、毎月の給与から家にお金を入れています。その上、財形にも支出するのは多少のしんどさがあります。でも、老後に年金が入らないとどう生活するんやと考えてしまいます。年金制度は必ず維持してほしい。
今は仕事が楽しく、生活に困ってはいません。国に求めたいことを問われるとなかなか難しいですが、新型コロナウイルスのワクチン政策は情報発信が不十分だと思います。
会員制交流サイト(SNS)を見ると「接種後に熱がごっつい上がった」とか「湿疹が出た」とかいろんな情報が流れています。真偽は分からないと理解していますが、やはり不安になります。国から正しい情報がもっと出てくれば、少しは解消されるのですが…。
ニュースなどで政治家が「国民のために」と言うのもよく聞きます。でも、国民の意見に耳を傾ける機会があるのでしょうか。一方通行の発信だけでなく、SNSをうまく使って僕たちが声を届けられる場を増やしてほしい。
今回は選挙権を得て初めての国政選挙。もちろん、投票には行きますよ。(聞き手・田中宏樹)
■若者向け給付金、支援制度を 姫路独協大生・塀内梨乃さん(19)=姫路市
大学に入ってからずっと、新型コロナウイルスの影響を受けています。昨年は前期のほとんどがオンライン授業でした。初めて親元から離れて生活するのに、友達がなかなかできなくて心細かったなあ。
徳島県阿南市出身で、今は大学の近くで1人暮らしをしています。言語聴覚士の資格取得を目指し、難しい勉強も頑張っています。高校時代、親戚の子が言語聴覚士のお世話になっていたんです。私も本格的に学びたいと思い、専門学科のある姫路独協大にやって来ました。
不安でいっぱいだった昨年6月、故郷の自治体から鳴門金時の菓子やスダチなど特産品の詰め合わせが届いたことがありました。「古里が支えてくれている」とうれしくて、頑張ろうと思えました。今は8割ぐらいの授業が対面形式です。オープンキャンパスなどを企画する学生団体にも所属し、忙しい日々を送っています。
生活費ですか? 実家からの仕送りとアルバイト代でやり繰りしていますが、半分は家賃と光熱費でなくなってしまいます。資格取得に向けて専門的な教科書も多く買う必要があり、学期ごとに数万円はかかっています。
アルバイトはラーメン店の店員です。週の半分ぐらいは働いていますよ。でも、時短営業の影響が大きくて…。閉店時間が早くなると2時間くらいしか働けない日もあり、収入は不安定です。
少しでも生活費を確保するため、洋服とかの買い物を我慢した時期もありました。就職後を見据えて貯金もしたいのですが、思うようにそこへお金を回せないのは結構つらい。
若い世代向けの給付金とか、支援制度をもっと充実させてほしいのが本心ですね。(聞き手・山本 晃)