衆院選・兵庫11区 浮いた旧民主票の行方は 連合関係者「“不戦敗”避けたかった」
2021/10/23 05:30
兵庫11区に立候補した3人のポスターが並ぶ掲示板。立民の候補者は不在となっている=姫路市内
政権を懸けて舌戦が続く衆院選(31日投開票)。自民、共産、維新の各候補が三つどもえの戦いを展開する兵庫11区(旧姫路市)では、旧民主系の票が宙に浮いた格好となっている。今のところ共産と立憲民主の共闘も姫路では限定的とみられ、自民、維新も労組などとは距離を保つ。製造業が集積し、一定の規模を維持する旧民主票はどこへ向かうのか。各陣営とも風向きを読み切れない中、選挙戦は中盤戦に突入する。(田中宏樹、井上 駿、山本 晃)
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「今回は立民が出ないから票の行方が分からない。気の抜けない選挙になる」。公示目前の16日、姫路市内の一室で開かれた自民前職・松本剛明候補(62)を支援する市議の選挙対策会議で、自民のベテラン議員が強い口調で訴えた。
旧民主系の支持基盤だった連合は、松本氏が民主公認で当選した2014年までの戦いを支援。だが、離党を経て自民公認となった17年の前回はたもとを分かち、希望の党の候補を支持した。今回、小選挙区については自主投票とする方針で、連合兵庫西部地域協議会の天川隆幸議長は「きちんとした野党をつくらないといけないが、11区は選択肢がない」と複雑な思いを打ち明ける。
一方、立民と共産が共闘路線を強める中、共産新人の太田清幸候補(66)は「野党統一候補」をアピールする。街頭演説ではジェンダー平等や消費税減税など立民が重視する訴えにも時間を割き、公示日には立民県連から激励のメッセージを受けた。
地元選出の共産県議は「組織票は見込めなくても、単発で支持してくれる人はいる」と手応えを口にする。ただ、応援弁士や選挙スタッフの派遣といった協力はなく、陣営からは「立民の本気さが伝わらない」との不満も漏れる。
「第三極」の立場を掲げる維新新人の住吉寛紀候補(36)は「(旧民主系と)ルートもないし、接触もしていない」と強調。選挙区をくまなく回って政策を訴え、若い世代や無党派層の取り込みを狙う。
労組が明確な投票先を見いだせないまま進む選挙戦に、ある組合幹部は「応援する候補がいないのは、やっぱり寂しい」と声を落とす。候補者不在は比例票にも影響を及ぼすため、別の連合関係者は「本音を言うと“不戦敗”は避けたかった。このままでは選挙区に独自候補を擁立するのも難しくなるのでは」と懸念を示した。
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