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ミニコミ誌のバックナンバーを前に地域への思いを語る大和悟さん=姫路市船津町
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ミニコミ誌のバックナンバーを前に地域への思いを語る大和悟さん=姫路市船津町

 小学校の運動会、住民のグラウンドゴルフ大会、集落内の清掃奉仕…。のどかな田園が広がる兵庫県姫路市船津町下垣内地区(約30世帯)の日常を掲載した月刊のミニコミ誌を、約20年間にわたって無料発行した男性がいる。住民の大和悟さん(88)。取材から編集、各戸配布まで1人でこなしたが、高齢のため、4年前の244号を最後に突然の休刊となっていた。「地域の20年の記録を形に残したい」。このほど全号を一冊にまとめ、ご近所さんたちへ久しぶりに届けた。(段 貴則)

 大和さんは生まれも育ちも下垣内。郵便局に勤め、退職を機に「地域の行事や慣習、私の思いを記録しよう」と発行を思い立った。

 第1号は1997年1月15日付。A4サイズの片面に、公民館前で進む道路工事や「厄神さん」のお知らせ記事を載せ、題字は「和(やわらぎ)」とした。自身の名でもあり「やわらぐ、穏やか、仲良くする」などの意味を込めた。

 取材は1人で出掛け、住民に話を聞き、写真を撮った。「日常生活や近所の人との会話の中に記事のヒントがあった。人によって、ものの見方も考え方も違うことを知って、発行が面白くなった」。誌面はすぐに片面のみから両面へ増ページとなり、毎月15日の発行をほぼ欠かさず続けた。住民だけでなく、ふるさとを離れた同窓生にも送った。

 記事は行事や慶弔のほか、集落で咲いた花を取り上げて季節の移ろいも伝えた。「備える」と題し、防災に関する情報も発信した。また、住民からメッセージの掲載を頼まれることも。無事に病院を退院した住民から、心配してくれた近所の人へのお礼、訃報が掲載される故人の遺族から、生前お世話になった人への感謝などを載せた。

 大和さんが最もこだわったのが「あとがき」のコラム。ネタは、少子化などで秋祭りの獅子舞が途絶えている寂しさ、世相や気候、海を渡って活躍する日本人メジャーリーガーまで幅広い。

 14字、26行の原稿用紙に、鉛筆で下書きする。何度も読み返しては書き直し、文章を練り上げた。休刊から4年たつが、今もシャツの胸ポケットにボールペンを入れ、食卓にはメモ用紙と辞書を置いている。「コラムのネタを思い付いたら、すぐにメモしたり辞書を引いたりできるよう、今も手放せない」と笑う。

 大和さんは「ミニコミ誌を通じた出会いがたくさんあり、一番の思い出。冊子を見て、地域の移ろいを振り返ってもらえたら」と話している。

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