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「山崎断層帯を知り、平時からの想定と準備が必要」と訴える西影裕一さん=宍粟市山崎町須賀沢
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「山崎断層帯を知り、平時からの想定と準備が必要」と訴える西影裕一さん=宍粟市山崎町須賀沢
【条線】岩の断面には断層が動いた痕跡「条線」が残る=姫路市安富町三坂
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【条線】岩の断面には断層が動いた痕跡「条線」が残る=姫路市安富町三坂
【破砕帯】何度も断層が動いた結果、岩が砕かれもろくなった破砕帯=宍粟市山崎町須賀沢
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【破砕帯】何度も断層が動いた結果、岩が砕かれもろくなった破砕帯=宍粟市山崎町須賀沢
姫路市安富町で発見された山崎断層帯のはぎ取り標本=宍粟市山崎町鹿沢
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姫路市安富町で発見された山崎断層帯のはぎ取り標本=宍粟市山崎町鹿沢
山崎断層帯の地震にも耐えられる設計の免震装置=宍粟市山崎町鹿沢
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山崎断層帯の地震にも耐えられる設計の免震装置=宍粟市山崎町鹿沢

 阪神・淡路大震災から27年が過ぎた。兵庫県宍粟市と周辺地域には、活断層「山崎断層帯」が走り、阪神・淡路と同じ直下型地震が起こる可能性も指摘されている。断層名の由来である同市山崎町付近では、かつて断層が動いた跡を観測できる。防災、減災への備えを考えようと、兵庫県姫路市立小中学校の元教諭で日本地震学会会員の西影裕一さん(67)の案内で、断層の痕跡を訪ね歩いた。(村上晃宏)

 「筋状の模様が付いているでしょう」。姫路市安富町三坂で、赤く縁取られた岩の断面を西影さんが指さす。断面には複数の横線が付いている。「条線と言います。断層が動いて岩石が割れ、こすれたためできたものです」と解説する。

 ここは山崎断層帯の一つ、暮坂峠断層が通る場所。どのように断層が動いたのか、触って学べるほど身近に痕跡が残ることに驚く。さらに西影さんが教えてくれる。「断層が延びる方向を見ると、片方が谷のように落ちているでしょう」。確かに、峠の北側の一部が急な下り坂で「谷」のようになっている。「断層で動いた片側がもろくなり、崩れてしまったんでしょう。断層谷と呼ばれるものです」

     ◇

 山崎断層帯は、那岐山断層帯(岡山)から兵庫に掛けて断続的に延びている。兵庫側には、岡山県美作市を最西端にして佐用町-宍粟市山崎町-姫路市安富町-同市夢前町-福崎町-加西市-小野市-三木市へと、七つの断層(全長約80キロ)がある。典型的な横ずれ断層で、西影さんが紹介してくれた痕跡が示すものだ。

 発見したのは、地質学者の故藤田和夫さん。山崎町から岡山県にかけて直線状に延びる断層を見つけ、1968年に「山崎断層」と名付けた。95年度以降、県が総合的な調査をした結果、七つの断層からなる有数の活断層だと分かった。

 山崎断層帯は平安時代の868年、マグニチュード(M)7以上の播磨大地震が起きた際に動いた-と、古文書の日本三代実録に記される。以降も山崎断層帯を震源地とする地震は計測され、1984年5月には暮坂峠断層を震源とするM5・6の地震が発生。姫路市で震度4を観測し、大きな被害が出た。

     ◇

 暮坂峠断層に続いて訪れたのは、宍粟市山崎町須賀沢の国道29号沿いにある工事現場。高さ数メートルの岩肌に幾筋ものひび割れが走る。「ここは約2億5千万~約2億8千万年前と思われる地層。本来は非常に固い岩盤です」と西影さん。しかしハンマーでたたくと、岩がボロボロと崩れ落ちる。

 「破砕帯と言います。何度も何度も断層が動いて岩盤同士がこすれて砕かれたことで、もろくなったんです」。固い岩盤が砕かれるほどに何度も強い力が加わった証拠。自然の脅威を目の当たりにし、息をのむ。

 西影さんによると、山崎断層帯の観測地は他にもあるが、草木が伸びたり、太陽光パネルが建設されたりし、見学できる場所が少なくなっているという。

     ◇

 県は2009~10年度、山崎断層帯による地震が発生した場合の被害想定をまとめた。早朝5時にM8・0の規模で起きた場合、建物倒壊による死者数が県内で3645人、負傷者数は約2万5千人と推計する。

 西影さんによると、地震予知の研究は進んでいるが、山崎断層帯のような直下型地震は難しいという。「山崎断層帯の知識を蓄えることが、万が一の際に自分の命を守ることにつながる」と訴える。

     ◆     ◆

■老朽化で学習機能縮小 宍粟防災センター

 宍粟市の災害対策活動の拠点が、宍粟防災センター(宍粟市山崎町鹿沢)だ。山崎断層帯の地震に耐えられる免震装置を備え、食料や飲料水、防災用品を備蓄する。ただ完成当初の売りだった防災体験設備の一部は廃止され、災害の学習機能は縮小している。

 旧山崎町が2000年、災害時の避難場所として建てた。平時は防災などの学習場とし、震度7までを体験できる地震体験室、テレビ画面の炎に向かって実際に放水する消火訓練室、山崎断層帯のはぎ取り標本などを設置。開館から約2週間で見学者は千人を超え、当時の防災に対する関心の高さがうかがえる。

 しかし、老朽化した地震体験室や消火訓練室の改修には、計約2千万円以上かかる見積もりが示され、市は2017年5月末で両設備を廃止した。

 市は縮小した防災学習機能の代替策を用意。同様の施設を見学する市内の小学校にバス代の一部を補助したが、利用校が少なく、19年度で打ち切った。現在、自治会などに、地震や風水害の対策を伝える出前講座を実施している。

 市によると、地震体験室や消火訓練室を復活させる方針は現状ないという。市担当者は「地域のコミュニティーとしての場所と、災害時の避難所としての役割に重きを置いていく」と話した。(村上晃宏)

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