「藤原道長は糖尿病」 脳神経外科医がひもとく歴史的人物の「持病」 シリーズ本で紹介

2022/02/09 13:00

歴史的人物の生活習慣病について解説する「糖尿病緊急事態」を書いた若林利光さん=姫路市内

 脳神経外科医で作家の若林利光さん(69)=兵庫県姫路市=が、史料を基に歴史的人物の持病を探る「糖尿病緊急事態」を著した。昨年秋に発表した「実録・脳卒中」に続く「歴史×生活習慣病」シリーズの第2弾。「巣ごもりで食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、新型コロナウイルスの重症化リスクが高いとされる糖尿病を発症する恐れもある」とし、「注意すべき生活習慣病の特徴を、歴史を通じて知ってほしい」と話す。 関連ニュース 叱責、脅し…秀吉の性格が見える33通の書状発見 曲がりくねった山道をひたすら進むと… 平家の落人伝説残る集落 平清盛が10年暮らした「お気に入りの地」 その理由が一目で分かる高台を訪ねた

 同市御立東1で「若林医院」を開く若林さんは、脳血管障害を未然に防ごうと、高脂血症や糖尿病改善の生活指導にも当たる。
 今作で取り上げた人物は、藤原道長▽源頼朝▽上杉謙信▽小林一茶▽勝海舟-の5人。
 このうち道長については、同時代に生きた藤原実資(さねすけ)の日記「小右記(しょうゆうき)」、道長自身の日記「御堂関白記(みどうかんぱくき)」などの記述を引く。口の渇きや食欲低下を伴わない体重減少、胸の痛みや視力低下についての言及があり、明らかに糖尿病だったとする。兄や伯父も同病で、遺伝的素因もあったとみる。
 平安時代は天然痘が流行し、貴族の生活様式はコロナ下のステイホームと似通う部分もあったとみられる。若林さんは「道長は政敵が疫病に倒れる中、生き抜いて権力を独占したが、屋敷に引きこもる生活は、ひょっとしたら糖尿病の発症を助長したかもしれない」と想像を巡らせる。
 文庫本サイズで124ページ。500円(税、送料込み)。若林医院TEL079・297・7737
(上杉順子)

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