「藤田監督の姿一日でも長く」高校時代のサインボール手に応援 東洋大姫路の近くで青果店営んでいた親子
2022/03/21 05:30
藤田監督のサインボールを見つめ、当時の思い出を語る井上和彦さん(左)と、母みさ子さん=姫路市書写
東洋大付属姫路高校(兵庫県姫路市書写)野球部が21日、選抜高校野球大会で甲子園初戦に臨む。今大会で退任する藤田明彦監督(65)は同部のOBでもある。学校近くに住む井上和彦さん(57)は約50年前、選手時代の本人からもらったというサインボールを大事に保管し、陰で監督を応援してきた。「一日でも長く監督のユニホーム姿を見たい」と、聖地でのチームの活躍に期待を寄せる。(山本 晃)
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井上さん宅は昭和末期まで「井筒屋」の屋号で青果店を営んでいた。練習を終えた野球部員たちが、パンや飲み物、軽食を求めてよく訪れ、顔なじみになった。高校時代の藤田監督もその一人。和彦さんの母みさ子さん(90)も「ようしゃべる子やった」と振り返る。
当時、地域の子どもたちにとって、東洋の選手は「近所のお兄ちゃん」的存在。小学生時代の和彦さんもよく野球部のグラウンドや部室に足を運んだ。ボールをもらった経緯は詳しく覚えていないが、ボールに「和彦君へ」や「S49・1・23 藤田 レフト」と書いて渡してくれたという。
本人が卒業後、一度選手仲間と店を訪ねてきてくれたことはあったが、当時和彦さんは不在で、その後直接話す機会はなかった。それでもボールは自室の棚に飾って大切に保管し、テレビ解説などで藤田監督の声を聞くたびに懐かしい気持ちになった。みさ子さんも「声は変わらへんね。年を取っても、かわいらしいまんまやわ」と目を細める。
「選手たちの努力でつかんだ甲子園。監督も選手も、最後まで頑張ってほしい」と話す和彦さん。高知高校(高知市)との初戦では、母とともに自宅のテレビから熱いまなざしを送るつもりだ。