6250万円で新築の相撲場、市議要望で予算増額も使われず1年 未だ活用法示されず 姫路・白浜小
2022/04/08 05:30
完成から1年たった白浜小学校の相撲場。具体的な活用策は見いだせていない=姫路市白浜町甲
兵庫県姫路市が白浜小学校(同市白浜町甲)に新築した相撲場が、完成から1年たっても一度も使われていない。市議の要望を反映させた結果、約6250万円の公費が投じられ、当時の副市長が辞任するなど市政混乱の一因にもなった。3月の市議会本会議で議員が活用の方向性をただしたが、担当する市教育委員会は具体策を示さず、今後の見通しは立っていない。(田中宏樹)
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土俵にシートがかぶせられ、児童の立ち入りを禁じる赤いコーン標識が四方を囲う。白浜小の校庭の隅にある相撲場は2021年3月に整備されたままの状態だ。
白浜地域は相撲が盛んで、同小では毎年児童が参加する相撲大会が開かれる。相撲場は04年の台風で屋根が破損する被害を受け、地元の連合自治会や同地域が地盤の松岡広幸市議が復元を求めていた。
市教委は新相撲場の屋根の意匠に松岡市議の要望を反映させ、伊勢神宮(三重県)の社殿と同じ「神明造り」を採用。木造の特殊な造りとした結果、最大2500万円を見込んだ事業費は2・5倍に膨らんだ。増額対応を指示した当時の副市長、高馬豊勝氏が任期途中で辞任するなど市政混乱の一因にもなった。
市議会でも不適切な予算執行や安全面の課題が問題視され、市教委は利用を見合わせた。市議会が特別委員会での審議を終え、市による事業検証の結果も示されたことで、3月の本会議では今後の活用策について質問が相次いだ。
相撲場は本来、白浜小の相撲大会での利用や地域への開放が想定されていたが、答弁に立った西田耕太郎教育長は「相撲場は今ある場所で利用したい。できるだけ早く考えを示したい」と説明。22年度中に方針を決める意向を明らかにしたものの利用法への言及は避けた。今後、同小校長らの意見も踏まえて方針を検討するという。
■内部委員会を新設審査へ 不当要求行為再発防止で初会合
姫路市議会の松岡広幸市議が市職員に不当要求行為を繰り返し、予算執行などで市の不適切な対応が相次いだ問題を受け、市と市議会は7日、再発防止策を検討する共同協議会を設置した。同日の初会合で、市が不当要求行為の疑いがある言動について審査する内部委員会を新設する方針を決めた。
同日の会合には市議会の主要6会派の議員各1人と、坂田基秀総務局長ら市職員5人が出席した。
内部委員会は副市長をトップとし、市議らの言動が不当要求行為に当たるかどうかを審査する。これまでは担当局長1人が不当要求行為に該当するかどうかを判断していた。坂田局長は「議会との関係もあり、責任を持って認定するのはためらいがあった。複数人で冷静な判断につなげたい」と理解を求めた。
また協議会では、市議と市側の双方から「どのような言動が不当要求行為に当たるか、議員と職員が共通認識を持つことが必要だ」といった意見が出された。