播磨の酒、魅力引き出す食材は?10蔵の杜氏らが「ペアリング」を探究 初回テーマは「だし」
2022/07/20 05:30
日本酒を口に含み、だしとの相性を探る参加者たち=灘菊酒造
旧播磨国、現在の兵庫県南西部にある10の酒蔵が、「料理との相性」を切り口に、地元の酒の特性を深掘りして酒造りに磨きを掛けるプロジェクトを立ち上げた。料理研究家の協力を得て、蔵元や杜氏(とうじ)たちが自らの舌で看板銘柄の香りや味わいを一層引き出す食材を探る。全国でも珍しい試みで、兵庫のライバル・灘五郷をはじめ、各地の銘酒との差別化を図り、酒どころ・播磨の日本酒をアピールする。(段 貴則)
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プロジェクト名は「日本酒ペアリング・ラボ」。酒そのものを味わう飲み方にとどまらず、酒と相性の良い食材や料理との組み合わせにも着目する「ペアリング」は、酒の楽しみ方として注目が高まっている。姫路・西はりま地場産業センター(姫路市)が姫路以西の酒蔵に参加を呼びかけたところ、東播磨や北播磨の酒蔵も手を挙げた。灘菊酒造(同)の川石光佐社長兼杜氏は「スタンプラリーなど数軒の酒蔵が連携することはあるが、10の蔵の枠組みで一つの取り組みをするのは初めてでは」と話す。
ラボには、兵庫出身の料理研究家上田淳子さん、食をテーマにした情報誌「dancyu(ダンチュウ)」の元副編集長、神吉佳奈子さんが協力する。
初回の19日は、灘菊酒造に各蔵から蔵元や杜氏が集まり、料理の味のベースとなる「だしと播磨の酒」をテーマに勉強会を開いた。昆布やカツオ、野菜など5種類のだしを用意。各蔵が持ち寄った日本酒との相性を探り、播磨の酒の特徴について意見を交わした。
今後、月1回のペースで複数回、勉強会を重ねる。唎酒(ききざけ)師でもある同センターの吉岡幸彦専務理事は「各蔵で代替わりが続いており、これからの酒造りを担うキーパーソンたちが、味を深化させていく場となれば」と期待している。