「いつまでも人気者」ゾウの姫子がつないだ縁 200キロ以上離れた水族館でヒマワリ開花
2022/08/25 05:30
花壇に設置された説明板=鳥羽水族館提供
「姫子」のヒマワリが咲きました-。三重県鳥羽市の鳥羽水族館のホームページ上に7月、そんな情報が掲載された。姫路市立動物園(兵庫県姫路市本町)で2年前に息を引き取ったアジアゾウ「姫子」のゾウ舎に、翌年植えられたヒマワリの種が成長したという。どうして姫路から200キロ以上離れた鳥羽に、種が植えられたのだろう。(山本 晃)
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2020年10月に死んだ姫子は2代目で、1994年に来園した。長年、姫路市立動物園の人気者として市民らに愛されたが、足にできた腫瘍が原因で衰弱死した。
同園のゾウは姫子のみだったため、園の中心部にあったゾウ舎は空っぽになった。少しでも寂しさをまぎらわそうと、担当飼育員の一人がこの場所にヒマワリを植えることを発案。昨年夏、屋外部分は大輪のヒマワリでいっぱいになった。
「姫子のヒマワリを育てて、これからも姫子のことを思い出してほしい」。見頃を迎えた後、園では種を広く配ることを決めた。昨秋に職員がイラストなどを添えて一つ一つ袋詰めし、動物園のサポーター会員や日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟する全国の約150施設に配った。
贈り先の一つが鳥羽水族館だった。この春、飼育員たちが入場ゲート近くに花壇を作り、姫子のヒマワリの種を植えた。今年は梅雨が短かった影響で、7月初旬までに開花を確認。その後も15~20輪の花が咲いた。花の種を取り、来年以降も育てるという。
鳥羽での開花の便りは姫路にも届いた。「まさか本当に育ててくださるとは」と姫路市立動物園の安井聖二園長。鳥羽水族館へも感謝のメッセージを送ったという。「心を込めて育ててもらい、とてもうれしい。姫子はいつまでも人気者ですね」と感慨深げだった。