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真夜中に店内から光が漏れる「ファミリーマート+西村書店加西店」=兵庫県加西市北条町横尾
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真夜中に店内から光が漏れる「ファミリーマート+西村書店加西店」=兵庫県加西市北条町横尾

 若者の活字離れやインターネット販売の普及、人口減少などで書店を取り巻く環境が厳しさを増す中、兵庫県加西市で昨年夏に誕生した書店とコンビニの一体型店舗「ファミリーマート+西村書店加西店」が順調な経営を続けている。地元で60年以上続く老舗書店と、24時間営業のコンビニが組んだ異色のタッグ。客数と売り上げは書店単体時代の2倍に増えた。ここへ人は何を求めて来るのだろう。(森 信弘)

▼金曜、午後10時16分

 スーツを着た男性(57)=同市=が語学テキストのコーナーで「おもてなしの基礎英語」を手に取っていた。家電量販店で非正規社員として働いているという。

 2年前、自宅で介護していた母が亡くなり、1人で暮らす。2、3年前からテレビの英語学習番組をよく見るようになった。「大学は英文科だったけど、会話はできなくて。少し勉強してみようかな、と」

▼午後10時50分

 男性会社員(50)=同市=が月刊の女性ファッション誌「美人百花」のページをめくっている。お気に入りのモデルを毎月、チェックするという。「女性誌は華やかさがある。服装や小物を見ているだけでも、妻へのプレゼントの参考になる」

 家族との夕食を終え、寝るまでの自由時間。「店でぶらぶらすると、こんな本がある、と発見がある」

▼午後11時20分

 化学メーカーの研究職の男性(26)=同市。出身は神奈川県。休みの前夜、いったん帰宅して出てきた。新書や小説をよく読むという。「新書は社会学や精神分析みたいなのが好き。小説は何でも読むけど、SFが好きかな」

▼日付が変わり、午前0時45分

 客は少なくなってくる。郵便局で運送部門を担当しているという男性(49)=加西市=は書棚の前で、総合雑誌をじっくり吟味していた。

 「以前はインターネットで本を買っていた。ここは仕事が夜中に終わっても開いているのがありがたい。書店は気分転換になるし、カップラーメンを買うこともあります」

 業界の競争は熾烈(しれつ)だ。ビジネス書を読んで勉強することもある。

▼午前1時

 書店部分の照明の数が減り、店内は少し暗い。加西市に嫁いだ次女が出産したという女性(59)=姫路市=は、退院して1週間くらいの次女の手伝いに加西へ来たという。娘たちの子育てに重宝した育児書を探していた。「今よりも字がいっぱい書いてあった本が役に立ったんだけど、捨ててしまって」

 残念ながらお目当ては見つからず。代わりに料理本の「はじめてでもおいしく作れる和食」を購入した。「これも欲しかった本」-。ジュースを買いに来たが、長居してしまった。

▼午前2時8分

 高校生の参考書コーナーで棚を眺めているのは、加西市内で中学生向けの個人塾を営む男性(52)=同市。新たに頼まれた高校生を教えるため、数学の参考書を見に来た。

 「インターネットでも買うけど、手に取ってじっくり読みたいときもある」

 参考書を選ぶと、コンビニの棚へ。スパークリングワイン3本、おにぎり、パスタなどをかごに入れた。

 夜も更け、店内を静かな空気が包む。

▼100坪超える書店 コンビニ一体型

 西村書店は1955年に加西市内で創業し、西脇市と播磨町にも店舗がある老舗。昨年7月に生まれ変わった加西店の売り場面積は約710平方メートルで、100坪(約330平方メートル)を超える書店とファミリーマートの一体型店舗は全国初という。4分の3を占める書店部分には絵本から専門書まで約10万冊が並ぶ。

 新刊図書を扱う書店の全国組織「日本書店商業組合連合会」(東京)によると、2008年4月に5869店あった加盟店が今年4月には3249店まで減少。兵庫県内では210店が138店に減った。

 今年3月には上郡町で店舗があった最後の書店が閉店するなど、地方では「書店のない町」も増えている。出版取次大手トーハン(東京)が昨年7月にまとめた調査では、売り場を持つ書店がない市町村・行政区は420に上り、香川県を除く46都道府県にある。

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