北播

  • 印刷
「寝付きが悪い時に本屋に行けると思うとうれしい、という声を聞く」と話す田中俊宏社長=ファミリーマート+西村書店加西店
拡大
「寝付きが悪い時に本屋に行けると思うとうれしい、という声を聞く」と話す田中俊宏社長=ファミリーマート+西村書店加西店

 創業60年以上の老舗書店とコンビニとの一体型店舗「ファミリーマート+西村書店加西店」が昨年7月にオープンし、間もなく1年を迎える。ここまでの手応えやこれからの課題を田中俊宏社長(58)に聞いた。

 -なぜコンビニと。

 「売り上げが毎年5%ほど減って経営が厳しくなっていた。もはや書店単独では生き残れない、というのは業界で一致した意見だと思う。一歩を踏み出さないと何もできない」

 「長野県で過ごした大学時代、セブン-イレブンがキャンパスの近くにできて、これからはこういう時代なんだ、と感動したことを鮮明に覚えている。20年近く前から大手コンビニにアプローチしていた。かつて書店は地域の情報・文化の発信基地と言われたが、今はコンビニの方が最先端だ」

 「コンビニで雑誌はよく売れるので、書店の客を増やすには相性がいいはず。コンビニは高齢者がよく利用するので、高齢化社会にも合っていると思う。無人レジなどを導入するにしても、書店単独では難しいが、コンビニと一緒なら可能性が広がる。書店との複合店舗に取り組むファミリーマートも、大型店から本格的に書店のノウハウを学びたいということだった」

 -店はどう変わったのか。

 「営業時間は午前9時半~午後10時15分だったが、24時間にした。午前0時ごろをめどに書店部分の照明を間引き、経費を節約。本についての問い合わせは午後10時~午前9時は断っている。12万冊だった本は10万冊に減らした。一番減ったのはコミック。踏み台が必要な棚の本も少なくした。ソファやキッズスペースを設置。コンビニには通常店と同じ3千品目を置いた」

 -結果は。

 「文具を除き、書店とコンビニのレジが共通で、会計も一緒。一日平均のレジ通過人数は2倍になり、売り上げも倍増した。本の売り上げは減ったが、それを上回るコンビニの売り上げがある。本とコンビニ商品の併売率は6割くらい。いいスタートが切れたかなと思っている」

 「以前はどちらかといえば男性が多かったが、女性とファミリー層が増えた。女性誌や児童書の売り上げが増えている。昔からのお客さんに『コンビニはざわざわする』と言われることもあるが、立ち寄りやすい楽しい空間にできたのでは」

 -今後の課題は。

 「一番は、夜に働くスタッフの確保。コンビニは慢性的に人手が不足している。求人すると、応募が集中する時間帯と問い合わせもない時間帯がある。また、コンビニと書店両方の知識を備え、効率良く動ける人材を育てなければならない。コンビニもレジを打つだけではなく、発注や陳列など奥が深い」

 -本屋に対する思いを。

 「いくらインターネットが普及しても、ふらっと寄れる空間は大事。AI(人工知能)などの技術が進む時代にこそ、アナログのサービスが必要とされるのではないか。地域で本屋を続けるために、もう1本の利益の柱をしっかりと確保したい」

■ファミリーマート 地域に根差した老舗の経験活用

 常に利便性の追求が求められるコンビニ業界でファミリーマートは、書店をはじめドラッグストアやJA、スーパーなど他業態の専門性を生かした「一体型店舗」を各地で展開している。

 同社広報室によると、西村書店のように書店と経営者が同じなど一定の条件を満たした「一体型店舗」の書店は、昨年11月末時点で10都府県の11店舗に上るという。同じ敷地にファミマと書店が同居する「事実上の一体型」も存在する。

 特に西村書店のような老舗と組むメリットについて、同社の担当者は「老舗の書店はそれぞれの地域に根差していて、店主の経験が長いので、地域住民の好みをつかみやすい。住民にとっても、地域で愛されてきた書店にコンビニの機能が付くことでより使いやすくなる」と話す。(森 信弘)

北播の最新
もっと見る

天気(11月15日)

  • 17℃
  • 12℃
  • 10%

  • 16℃
  • 9℃
  • 20%

  • 18℃
  • 10℃
  • 10%

  • 17℃
  • 9℃
  • 20%

お知らせ