北播

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三洋電機北条工場からイオンモール加西北条へと変わった風景を見ながらお好み焼き店を営んできた豊田和代さん(右)と真弘さん=加西市北条町北条(撮影・笠原次郎)
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三洋電機北条工場からイオンモール加西北条へと変わった風景を見ながらお好み焼き店を営んできた豊田和代さん(右)と真弘さん=加西市北条町北条(撮影・笠原次郎)
かつて存在していた三洋電機北条工場。右下に「お好み焼き とよだ」の看板がある(三洋電機提供)
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かつて存在していた三洋電機北条工場。右下に「お好み焼き とよだ」の看板がある(三洋電機提供)
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 平成が終わる。北播磨(兵庫県)ではこの30年、大工場や遊園地が姿を消す一方、新たな商業施設や新興住宅地が生まれた。移り変わるまちの風景を、地域の人の記憶でたどる。

    ◆    ◆

 加西市の中心部にあるお好み焼き店「とよだ」(同市北条町北条)は、北播磨最大級の大型商業施設「イオンモール加西北条」の目の前にある。週末は市内外から買い物に来た家族連れでにぎわう。

 店ができたのは1965年ごろ。現在の店主豊田真弘さん(49)が、母和代さん(76)の切り盛りしてきた店を手伝い始めたのは、23歳だった平成4(1992)年ごろだった。「この辺りは、前は工業地帯というイメージやったけど、ハイカラで都会的な感じになった」。和代さんは感慨深そうに語る。

 イオンモールの敷地の片隅に「三洋電機発祥の地 1947年2月1日」と刻まれたレンガの碑がひっそりと立つ。ここにはかつて、さまざまな家電で親しまれた三洋電機が創業時に開いた北条工場があった。

      ◇

 「お昼のお客さんは三洋の人がほとんどだった。作業服のような姿でバーッと来て」

 真弘さんが店に出るようになった頃、三洋電機はまだ“元気”だった。工場の敷地を走るリレーマラソンの大会があった時は、打ち上げで1階と2階に客が100人くらいも入った。工場で開かれた夏祭りの客が流れてくることもあった。

 しかし、同社の業績不振によって、工場は平成16(2004)年に研究開発部門だけになり、2年後には完全に閉鎖された。企業城下町とも言われた同市にとって屋台骨の喪失だった。

 真弘さんは「なじみのお客さんには、転勤か退職か迫られて『東京に行くことになった』と話していた人もいた」と思い出す。地域と店の将来に不安を募らせた。

      ◇

 平成20(2008)年、跡地に専門店が集まるイオン加西北条ショッピングセンター(現イオンモール加西北条)がオープンした。にぎわいは生まれたが、センター内にも飲食店があり、「とよだ」に流れてくる客は少なかった。「しばらく我慢の時かなと思った」

 半年ぐらいたつと、新しい店の品定めが終わったのか、客足が戻った。かつて工場で働いていた人が懐かしんで訪ねて来ることもある。

 「新しい時代になっても、まちには活気があってほしい」と真弘さん。家族でお好み焼きを食べに来てくれる幸せそうな風景がいつまでも続くことを願っている。(森 信弘)

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