北播

  • 印刷
狼岩とほぼ同じ標高にある天狗岩からの眺望。天気の良い日は絶景が広がる=三草山山上
拡大
狼岩とほぼ同じ標高にある天狗岩からの眺望。天気の良い日は絶景が広がる=三草山山上
山上にあった「狼岩」。狼の姿を横から眺めたように見える?=加東市下久米から三草山方面を望む
拡大
山上にあった「狼岩」。狼の姿を横から眺めたように見える?=加東市下久米から三草山方面を望む
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT

 播磨小富士と呼ばれ山上から北播磨を一望できる兵庫県加東市の「三草山」(標高約430メートル)。ハイカーらに人気の雄峰に最近、謎めいたうわさが広がっている。それは「狼岩」と言われるビューポイント。屈指の眺望を誇る「天狗岩」のそばにあるらしいが、見つからないというのだ。同市職員らが“捜索”すると聞き、好奇心が湧いた私も同行したのだが…。(中西大二)

 それは1本の電話から始まった。「狼岩ってどこなんですか」。そんな声が市観光協会に寄せられたのは5月の連休明け。尾根伝いの山道に市が4年前に立てた「天狗岩、狼岩」の方向を示す案内板に従って南へ下ると、天狗岩には着いたが、狼岩らしきものはないという。

 当時、山道を整備した市職員によると、山道にはもともと狼岩を示す古い案内板が数カ所にあったという。「昔からあると伝え聞いていたので」と市はあらためて確認することなく案内板を付け替えた。

 しかし、見つからないとなると一大事だ。電話を受け、市職員2人が調査を開始。1人は同山登山歴50回を誇る熟練者だが、狼岩の存在を知らなかったという。1度目は、案内板の通り天狗岩から下って狼岩を目指したが見つけられなかった。このため記者が同行した2度目は、麓から一気に天狗岩へ登ることに。登山道はないが、途中で見つかる可能性が高いと森の中へ入った。

 ハルゼミが鳴くうっそうとした木の下、やぶをはらい急斜面を登る。イノシシが歩いたような獣道を確認。森は想像以上に深い。職員の1人はイバラで腕を傷つけ血を流した。ようやく尾根にたどり着く。だが、「天狗」は現れたが、「狼」は分からなかった。

 志半ばで下山し、川のそばで休む。ふと山を見上げると何となく狼の顔のように見える岩が。「あれか…」。

 麓で生まれ育ち山をよく知るお年寄りの知恵に頼ろうと元大工、橋本佳博さん(86)=加東市=に聞いた。下山時に撮った写真を見せた瞬間、即座に答えが返ってきた。

 「これや。顔の形もそうかもしれんが、昔、狼がそこにおったからかもしれん」。それならば案内板の示す方向は間違っておらず、天狗岩から東南へ約500メートル離れた位置にあった。

 だが、橋本さんは「行くのには勇気がいる。道はなく急斜面も多い。子どもの頃は親が1人では行かせんかったなあ。ただ、なぜかあそこには神棚に供えるええサカキが生えていた」

 人を近づけず、神秘的な雰囲気さえ漂わせる。そこに立てば狼が見た光景を時を越えて体感できるのだろうか。森が葉を落とす秋以降に再登山を決意し、伝説の岩場を仰ぎ見た。

北播の最新
もっと見る

天気(6月20日)

  • 28℃
  • 22℃
  • 10%

  • 28℃
  • 18℃
  • 10%

  • 30℃
  • 21℃
  • 10%

  • 31℃
  • 21℃
  • 10%

お知らせ