北播

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子どもはみんな王様と王女様。夢の城を体現したオモチャのデパート「てんぷる」=西脇市西脇
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子どもはみんな王様と王女様。夢の城を体現したオモチャのデパート「てんぷる」=西脇市西脇
プラモデルやフィギュアなど多彩なおもちゃが所狭しと並ぶ店内=西脇市西脇
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プラモデルやフィギュアなど多彩なおもちゃが所狭しと並ぶ店内=西脇市西脇

 「寂しいけれど、本当にお疲れさまでした」

 「年だし、仕方ない。もう10歳若かったらね」

 兵庫県西脇市西脇の「てんぷる」創業者の遠藤茂男社長(83)は、このところ毎日のように常連客らと言葉を交わす。

 東京五輪翌年の1965(昭和40)年に開業。約半世紀の間、続けてきたこの店での営業も後わずか。今月末の閉店を聞きつけ、てんぷると共に成長したかつての子どもらが懐かしさと惜別の思いを胸に、県内外から駆け付けている。

 赤れんがのエントランスから店内に足を踏み入れると、虹色の階段が現れる。奥には水鉄砲やぬいぐるみ、滑り台など大小のオモチャがずらり。右手には結納品、左手にはベビー用品と幅広い。2階には希少品のプラモデルやフィギュアがうずたかく積まれ、五月人形やひな人形もそろう。

 店名の由来は、米国の子役スターで後に外交官としても活躍したシャーリー・テンプルさんから。戦前戦後の日本でも少女らに爆発的な人気があったという。

 売り場面積約1300平方メートルの店舗は、洋風の城をイメージ。遠藤社長が「せめておもちゃ屋さんでは、子どもたちは王様や王女様になって過ごしてほしい」と設計した。店内中央に構える大ぶりな階段、噴水にステンドグラス、モザイクの壁。その一つ一つにこだわりがにじむ。

 「ガンダムとかプラモデルを買いに行ったし、学校の帰りにはゲームコーナーに皆で遊びに行ったなあ」

 「初代ファミコンはここで買った」

 「プリクラ撮るのにしょっちゅう通った。ちっちゃい時は子ども服の試着もいっぱいさせてもらった」

 多くの市民の幼少期の記憶に刻まれたてんぷる。この1~2カ月は、久しぶりに訪れた遠来の客が贈る手土産のカステラやまんじゅうが所狭しと積み上げられている。「こっちがお礼を言う方なのにねえ」と遠藤社長ははにかんだ。

     ◇

 てんぷるは31日に閉店する。老朽化した建物の設備改修が必要になったのを機に、体力の限界を感じていた遠藤社長が引退を決めた。廃線になった旧JR鍛冶屋線西脇駅前で、半世紀にわたり子どもたちの夢を育んできた店の記憶をたどる。(長嶺麻子)

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