北播

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テラスで試飲もできる店。「田んぼがあると季節の流れを感じられる」と話すモリネリ・クラウディオさん=加西市馬渡谷町
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テラスで試飲もできる店。「田んぼがあると季節の流れを感じられる」と話すモリネリ・クラウディオさん=加西市馬渡谷町

 包み込むような竹林。目の前には田んぼが広がる。兵庫県加西市北部にある自宅を兼ねた店舗「コルヴィーノ」の外壁は土と同じ色に塗られ、風景に溶け込んでいる。クーラーの効いた店内の棚にずらりと並ぶのも「自然派ワイン」ばかりだ。

 モリネリ・クラウディオさん(41)。父はイタリア人で母はオーストリア人。外交官など国際的な仕事を目指していた。スイスで生まれ、父がイタリア外務省に務めていた関係でウルグアイやミャンマー、イタリア、フランス、アラブ首長国連邦(UAE)、モザンビークで暮らした。

 食文化に強い興味を持ったのは、ヨーロッパの小国スロベニアとオーストリアの国境に近いイタリア北部の大学で政治学を学んでいた時。各地域で、そこにしかないワインとそれに合う料理が根付いていた。

 専門を生かせる仕事が見つからない中、イタリアの大切な食文化、ワインに関わりたいという思いは熱を帯びていった。2012年から、日本留学中に知り合った妻中植亜由美さん(36)の実家がある加西市で住み始めた。「人生は一度きり。情熱の持てるワインの仕事がしたかった」と流ちょうな日本語で話す。

 都会よりも田舎が好き。竹林だった今の場所に家を建て、17年12月に店を開いた。谷あいなので、朝晩は涼しい風が吹く。イノシシやキツネに出合うことも。望んでいた環境だった。

 開店する前、イタリアに渡り、ワインの生産者を探した。北部ベネト州でのイベントで自然派ワインの生産者と交流したことが貴重な経験になった。仲間でつながりを持ち、助け合う関係が気に入ったという。

 「自然派ワイン」は天然酵母だけを使い、酸化防止剤も極力避けることなどが特徴だ。ブドウ栽培では基本的に農薬を使わない。日本では自然派が注目され、イタリアの生産者にも重要な市場だった。

 だが、日本のワインには偏見があったという。開店前、加西市でマスカット・ベリーAを育ててワインを作る福永淳平さん・枝美さん夫妻や三木市の生産者に出会って驚いた。「繊細で、地域独特の味を出している。こんなにいいワインを作れる人が日本にもいたんだ」と衝撃を受けた。

 販売するワインの産地はほとんどがイタリアで、フランスやオーストリア、日本もある。インターネットでも販売するが初心者が選ぶのは難しい。「ワインを買いに神戸や大阪に行く必要はない。ここへ来てもらえれば、説明できる」と自信を見せる。近隣で無農薬野菜にこだわる飲食店などにも卸す。

 仕入れるワインは試飲し、可能な限り生産者にも会うようにしている。神戸市などで参加してきた、自然派ワインなどを楽しめるイベントを加西市でも開くのが夢だ。「日本のいいワインをもっと紹介し、自然派のコミュニティーを広げたい」(森 信弘)

【記者の一言】

 イタリアの大学での卒業論文は「小泉政権の外交政策」。17歳のころ、父親から日本の歴史に関する本を借りた。一つの国が明治という短い期間にがらりと変わったことなどに興味を持ったという。

 外交官を目指していただけあって、イタリア語、日本語、フランス語、ドイツ語、英語と5カ国語を操る。ワインを買いに行ったなら、そんな店主との会話も楽しいはずだ。

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