かつては夏の風物詩だった「かんぴょう」を特産にしようと、兵庫県加西市の有志が取り組んでいる。代表的な産地の栃木県を視察し、休耕地を使って栽培して3年目。帯状にむいて干す作業や料理の開発などに取り組んでいる。(小日向務)
特産化に取り組むのは、同市の吉田清一さん(82)ら建設業や農業など多様な職業の約20人。かんぴょうはウリ科のユウガオのうち、丸く育つ品種から作る。
加西市でもかつては多くの家で栽培し、家でかんぴょうを作って、祭りの時などに巻きずしに使っていたという。そんななじみのある食材である一方、今も作る家は少ないといい、休耕地を利用した特産品づくりを検討する中で、かんぴょうを取り上げた。
栃木県への視察では、栽培だけでなく、帯状にむく機械なども視察。現地でも工場生産が主流で、小型の機械は既に製造されていないため、鉄工場を経営するメンバーが同行し、再現した。これまで生産したかんぴょうは北条鉄道のイベントなどで巻きずしにして販売したり、メンバーや知人に配って味わったり、どのような料理に使えるか研究したりしているという。
今年もメンバーは休日などを利用して、約千個の実を収穫。ビニールハウス3棟で乾かす作業を続けている。中心となって栽培する同市の男性(90)は「昔はどこの家でも作っていた。懐かしい」と目を細める。吉田さんは「栽培や加工技術の向上に加えて、かんぴょうを使った料理をいかに増やすかが課題。メンバーで楽しみながら、特産品に育てたい」と話している。
