北播

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熱した鉄を加工する山口小春さん=ムジュン・ワークショップ
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熱した鉄を加工する山口小春さん=ムジュン・ワークショップ
これまでに作った火ばさみなどを手にする山口小春さん=ムジュン・ワークショップ
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これまでに作った火ばさみなどを手にする山口小春さん=ムジュン・ワークショップ

 立教大学を今春、卒業した東京都出身の山口小春さん(23)が、250年の歴史を誇る「播州刃物」の世界へ飛び込んだ。一般企業の内定も3社から得たが、悩んだ末に播州刃物の後継者を育てる兵庫県小野市の工場に就職し、職人としての一歩を踏み出した。「後悔はない。日々成長している実感がある」と前を見据える。(笠原次郎)

 文学部史学科に所属した大学では音楽サークルでドラムをたたき、「ごく普通の女子大生生活」を謳歌(おうか)した。3年の春に、都内のIT企業でインターンシップを始めたが「オフィスで働く自分の姿をイメージできない」と違和感を覚えた。

 小学生の頃から絵を描くことや工作が好きだった。「職人になれば、大好きなものづくりに没頭できる」と、家具など現代アート風の商品を作る埼玉県の職人の仕事を見学したが、「もっと長い歴史に育まれた伝統工芸品を見てみたい」と思った。

 播州刃物に魅せられたのはそんな時だった。昨年5月、技術継承を目指し、若手職人が学ぶ「ムジュン・ワークショップ」(小野市西本町)で、ナイフを磨く工程を手伝った。その後も泊まりがけで訪れ、ナイフを作ったり火ばさみを打ったりした。

 新商品のナイフを作る若手職人が「より良いものを」と試行錯誤する姿に、播州刃物の歴史と魅力を感じた。「職人がいきいきと輝く現場がそこにあった。短い人生、好きなことをやって生きていきたい」と見習いになることを決意。後継者不足による技術継承への危機感も「私がやらなきゃ」とやる気に火を付けた。

 今年3月、小野市粟生町に引っ越し、職人生活を始めた。日々、火をおこし、鉄を打つ。先輩に教わりながら炉で使う火ばさみや火かき棒を作った。包丁を研ぐ練習も繰り返す。毎日力を入れる手の関節が痛くなり、指も太くなってきた。

 この夏も、新型コロナウイルスの感染が広がる東京には帰省せず仕事に励み、納期が迫っていたナイフ数百本の持ち手を磨く作業に没頭。「求められるレベルに達しているのか、自問する日々」だという。

 当初は心配していた両親が今では応援してくれるのが励みだ。「少しずつ技術を身に付けて作れるものを増やし、いつかは自分の工房を」と目を輝かせた。

【播州刃物】小野市の伝統産業で、職人が火をおこして鉄を打つ「鍛造(たんぞう)」で作り、研ぎ直しがきく。鎌や包丁もあるが、布の裁断、生け花、枝切り用などはさみの種類が特に多い。切れ味の良い日本かみそりは京都の芸者が愛用。職人の高齢化で技術の継承が危ぶまれている。

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