「特A地区」の山田錦のみ使った純米吟醸生原酒「東条泉」 30年ぶりラベル一新

2020/12/16 05:30

特A地区をアピールする黄金色の「A」をあしらった。従来の白ラベルも販売している=井乃屋

 兵庫県加東市新定の酒店「井乃屋」は同市東条地域の山田錦で醸した「東条泉」のラベルを約30年ぶりに一新し15日、販売を始めた。高品質酒米産地「特A地区」の山田錦のみを使った純米吟醸生原酒で、ラベルは黄金色で「A」を大きくあしらった。新型コロナウイルス感染症の影響で日本酒需要が伸び悩む中、店主の井上稔也さん(60)は「回復の起爆剤にしたい」と意気込む。(中西大二) 関連ニュース 味のある字が評判に 加東の酒店「井乃屋」が「令和」ラベル 銀色に輝く「NAKAGO」でうまい日本酒を 神戸に試飲店「ガラス製と無料で飲み比べて」 山田錦の酒 おうちで乾杯 通販促進へ送料肩代わり

 「東条泉」は戦前、旧加東郡を中心に飲まれた。しかし、太平洋戦争の戦犯となった東条英機のイメージと重なり、1948年ごろに販売をやめた。その後、東条地域が山田錦の産地として知られるようになり、「古里の名を冠した銘柄酒を」と復活を望む声も上がった。井上さんが地元の醸造元に声を掛け、約40年ぶりに復活させた。
 順調にファンを増やしたが、同感染症の拡大で清酒の出荷量は大幅に減少。山田錦の生産農家らが苦境に立たされる中、「日本酒を盛り上げるきっかけに」とラベルの新調を決めた。
 井上さんは長年、我流で書の作品を制作。清酒ラベルにも味のある文字をしたためてきた。今回も「A」の文字を一筆書き。黒い瓶に黄金色を強調するデザインに仕上げた。「今年の出来も良く、米のうま味と酸味のバランスが抜群」と太鼓判を押す。
 一升瓶4500円。720ミリリットルが2500円。道の駅とうじょう(加東市南山)でも販売。井乃屋TEL0795・46・0127

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