敬老会開けぬ中「心の癒やしに」 高齢者に花贈る
2021/04/07 05:30
笑顔で花の鉢植えを受け取る高齢者=西脇市内
新型コロナウイルスの影響で敬老会が開けない中、兵庫県西脇市西脇区では区事務所が地域の高齢者に花の鉢植えをプレゼントした。区事務局長の岸本里香さんが「心の癒やしになれば」と企画し、1人暮らしの58人に自ら配り歩いた。外出を控えている高齢者からは「心が温かくなった」と好評だった。
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同区では毎年秋の敬老会や、月に1回の誕生日会を開催。誕生日会は昨年4月に400回の節目を迎える予定だったが、コロナ禍で昨年2月を最後に見送りが続いている。岸本さんは丸1年、直接会えない状況に不安を募らせ、顔を見るきっかけとして花を贈ることを発案。3月24、25日の2日間で区内の1人暮らしの高齢者全員に配った。
花を受け取った高齢者は目を輝かせ、「花に話しかけて元気を出すね」とにっこり。握手を求める人もいたが「今はだめ」と心の交流だけにとどめた。デイサービスなどに出掛けて留守宅もあったが、岸本さんが配り終えて事務所へ戻ると、留守番電話には20件近い感謝のメッセージが残っていたという。
3月25日に受け取った黒田通子(みちこ)さん(79)は世話役として誕生会での出し物などを企画する立場だった。「知り合いと集まれないのはさみしいけど、花を見て我慢します」と色とりどりの花に目を細めた。
岸本さんは「花を渡すと、『他人から忘れられているような気がした』と涙をこぼす人もいた。今後も高齢者とのつながりを維持する方法を模索していく」と話している。(伊田雄馬)
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