長年展示のSL撤去に異論「緊急性なく、説明不十分」 加東
2021/04/15 05:30
播磨中央公園に展示されている蒸気機関車。各所に傷みが目立つ=加東市下滝野
播磨中央公園(兵庫県加東市下滝野)で長年展示されている蒸気機関車(SL)の取り扱いが揺れている。老朽化が進み、車両を管理する加東市は本年度一般会計予算で撤去費を計上し、可決されたが、14日の市会総務文教委員会で保存を望む一部議員が「突然の予算化で、事前に十分な説明がなかった」と疑問を投げかけた。市は撤去の方向性を維持しつつも「さまざまな意見を聞いていきたい」としている。(中西大二)
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SLはC56形機関車。1938年に製造され、中国、九州地方で走行した。運行終了後、75年に旧滝野町が国鉄(当時)から借り受け、同町中央公民館横に設置。その後、播磨中央公園の現在の位置に展示された。
設置から半世紀近くを経て車両は傷みが目立ち、市は「アスベストを含んでいる可能性もある」などの理由で維持は困難と判断。所有者のJRに返還を相談したが、修復と元々の場所に戻すことが条件で、約1億円の費用が必要とされた。このため、市は県に撤去費800万円の支援を受け、本年度予算に計上した。
14日の市会総務文教委で、市は解体、撤去への経緯と、車両の一部を保存展示する方針を説明したが、一部議員が「撤去する緊急性はない」「維持のために市民ボランティアを募るなど方策も」などと反論した。既に議会で可決されているが、岩根正副市長は「撤去の方向性は変わらないが、今後、議員や市民らの意見を聞きながらさまざまな対応を考える」としている。