新社屋は伝統の酒蔵風 神結酒造 コロナ収束後のにぎわい拠点に 加東

2021/07/19 05:30

神結酒造の新社屋。格子の扉や窓から明かりが漏れる。新しいにぎわい拠点を目指していく=加東市下滝野

 加古川に堤防を築く工事に伴い、再建が進められていた神結酒造(兵庫県加東市下滝野)の新社屋が完成した。一部かわらぶき屋根に白と黒の外壁が特徴の建物で、昔ながらの酒蔵をイメージ。同酒造の関係者は「コロナ収束後に向けて、新たなにぎわい拠点を目指していきたい」と力を込める。(中西大二) 関連ニュース 台風7号兵庫を縦断、21人重軽傷 13市町34万人に避難情報 県、被害相次いだ香美町に災害救助法を適用 JR西、16日の始発から運転再開 福知山線や播但線など一部区間は昼~夕方に 「曽祖父の戦争知りたい」神戸の高校生 祖母の記憶継承、平和願う気持ち新たに


 同酒造は1893(明治26)年に創業。地元産山田錦を使い、五峰山の伏流水で仕込んだ酒造りを続けており、創業の地は当時と今も変わらない。かつての社屋兼倉庫は、戦後すぐに建てられた播州織工場を手直ししたもので、のこぎり屋根が特徴の建物だった。
 一方、滝野地域では2004年の台風23号で加古川が氾濫し、水害に見舞われた。このため国土交通省では約2・7キロの堤防を築く工事を17年から開始。周辺は家屋の立ち退きが続き、同酒造の建物も3分の2が解体された。
 新社屋の建設工事は敷地内で今年1月から始まった。建物は木造2階建て、延べ床面積約94平方メートルで、1階は店舗と事務所。店舗は吹き抜けで開放的な空間が特徴だ。2階には談話室を設置。最大20人が収容可能といい、今後、日本酒関係の講演会などを企画するという。
 これまで同酒造周辺は道幅が狭いため、観光バスが直接入ることが難しかった。だが、堤防工事によって川沿いには幅約4メートルの道路が整備される予定。同酒造の長谷川妙子専務は「観光客も訪ねやすくなると思う。この機会をチャンスととらえて買い物が楽しめる空間をつくっていきます」と話している。

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