世知辛い世にほのぼの…植物の絵入り御朱印人気 小野・歓喜院、僧侶が月替わりで巧みに描写
2022/07/03 05:30
御朱印のイラストを担当している歓喜院の鑑壽光さん=小野市浄谷町
国宝浄土寺(兵庫県小野市浄谷町)の塔頭(たっちゅう)「歓喜院」の御朱印が好評を集めている。アジサイやビワ、カタクリなど月替わりで描かれる美しい植物の絵が人気の理由で、イラストは全て同院の僧侶鑑壽光(かがみじゅこう)さん(69)が描いている。御朱印を目当てに毎月訪れる人もいるといい、鑑さんは「お寺を身近に感じるきっかけになってくれればいいなと思いながら、筆を動かしています」と語る。(杉山雅崇)
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鑑さんは、高野山がある和歌山県高野町出身で、28歳で歓喜院に嫁いできた。父親は腕の良い宮大工で、ものづくりが身近な家庭で育った。幼い頃から絵を描くのが好きだったという。独学で培った技術を生かし、20代のころには高野山を取り扱う専門誌の記者として活躍。イラスト制作や取材に携わった。
同院の御朱印制作を思いついたのは2年前。「この世知辛い世の中に、ちょっとほのぼのする話題を提供したい」と、優しいイラスト付きの御朱印を発案し、2020年6月から発行を始めた。
御朱印の文字は、息子で同院住職の光顕(こうけん)さん(40)が担当。鑑さんはイラストに顔料を用いており、塗料の濃淡で葉の陰影や花びらの淡い色合いを巧みに表現している。
ツツジや桜、フキノトウなど、自分が季節ごとに見つけた植物を、月に2種類ずつ丁寧に描き続けてきた。鑑さんは「題材探しにはいつも発見があり、自然を学ばせてもらっている」と語り、「御朱印を求めるついでに、世間話や抱えている悩みを気軽に話してほしい。それが、お寺が持つ本来の役割だから」と話している。
7月の御朱印はハンゲショウとトケイソウ。1枚500円。歓喜院TEL0794・62・4318