「下滝野空襲」の本紙連載、冊子に 歴史に埋もれた被害の実態掘り起こし 戦争体験継承に活用へ

2022/08/19 05:30

下滝野空襲を調査した本紙連載「知られざる空襲」をまとめた冊子=加東市河高

 太平洋戦争末期、兵庫県加東市下滝野が空襲され、住民2人が亡くなった「下滝野空襲」を調査した本紙連載「知られざる空襲」が冊子にまとめられた。同市下滝野地区の自治会が発行し、小中学校や図書館などに配布して戦争体験の継承に役立てる。 関連ニュース 戦争の記憶をどうつないでいきますか? 神戸空襲を記録する会世話人・馬場敦子さんに聞く<編集委員インタビュー> <戦後80年>「真の平和への道、今も手探り」 姫路空襲体験 語り部・黒田権大さんに聞く 【被爆者10万人割れ】記憶継承、工夫凝らし 若年層育成、体験記収集も

 連載は昨年7~9月に掲載。下滝野地区は1945(昭和20)年7月24日昼、鶉野飛行場(現加西市)への攻撃のため飛来した米軍艦載機の爆撃を受けた。破片が飛散する「破砕爆弾」が使用されたとみられ、住民の阿江つゆさん=当時(75)、田中とみゑさん=同(52)=が亡くなった。
 神戸新聞社は、地区住民への聞き取りや当時の日本と米軍の資料を基に、被害の実態を調査。空襲の経緯や使用兵器などを明らかにした。
 冊子は、悲惨な地域史を後世に伝えようと、同区長の阿江孝仁さん(64)が中心となって編集。計20の連載や関連記事をまとめ、老若男女に読みやすいように大きめのB4判を選んだ。
 阿江さんは「下滝野空襲に関連した調査はこれまでになかった。冊子になれば記録として残しやすく、学校現場などで利用してもらいたい」と話している。
 B4判12ページ。希望者には無料で配布する。同市観光協会TEL0795・48・0995
(杉山雅崇)

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