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「避難所での認知症の人と家族支援ガイド」などから
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「避難所での認知症の人と家族支援ガイド」などから

 災害時に避難所で、認知症の人や家族に対し、行政や地域の人はどう対応したらいいのか。東日本大震災時の検証をしている認知症介護研究・研修仙台センター(仙台市)は、支援者ら向けに「避難所での認知症の人と家族支援ガイド」をまとめ、環境づくり▽周囲の理解と関わり方▽より体制の整った福祉避難所への移動準備-について、提言している=表参照。

 ガイドは、同センターが、東日本の被災地で2012年に行った調査や、避難所での事例などを踏まえ、13年に作成した。

 ■臭いの問題

 取りまとめをした矢吹知之・同センター主任研修研究員(45)は、提言の基となった被災地の実態について「避難所では、誰もが疲弊していた。認知症の人が環境の激変についていけず、うろうろしたり、大声を上げたりして周囲とトラブルになり、そこに居られなくなった事態が、多くの避難所で起きた」と話す。

 臭いの問題も大きかった。体育館など一つのフロアでは、おむつ交換の際、臭いが漏れるのを防ぎようがない。避難生活が3日目に入ったころから苦情が急増したという。

 ■見守り体制

 一方で、認知症の人が安心できる環境づくりや配慮で、うまくいった例もあった。

 岩手県大船渡市のある避難所では、認知症の人と家族のため、公民館の和室を確保。本人にも布団の出し入れや料理の手伝いなどの役割を担ってもらい、食事や掃除など生活リズムを整えることで、比較的穏やかに過ごせたという。また、宮城県南三陸町の避難所でも、住民らが、当事者のことを以前から知っていたため、家族だけでなく民間のヘルパーら数人で見守り体制をつくれた例もあった。

 「地域のリーダーを中心に、日ごろから認知症への理解を深めることが大切」と矢吹さん。ただ、認知症であることを周囲に打ち明けられない人は少なくない。熊本地震でも避難所に行けず、車中泊を続けた家族がいた。矢吹さんは「避難所などの入り口で、他の病気と同じように症状を伝え、支援を求められる社会にしていかなければ」と指摘している。

 ■気持ちが楽に

 当事者らが、いざというときのため、自ら備えをしようとする動きも出ている。

 高砂市の「若年性認知症の本人とその家族の集い 子いるかの会」は昨年、同市障がい者自立支援協議会が作った防災手帳を使い、ワークショップを開いた。

 地震発生直後、数時間後、避難所に行ってから…と、状況をシミュレーションする。「後ろから声を掛けられたら、動けなくなってしまう」「大勢がいるところで一緒にいるのは、私には大変」「今ある薬が切れたら、どこで手に入るのか」。本人や家族、サポーターらが、周囲に気にとめてほしいことや対処法などを考えながら、表を埋めていった。

 「何が必要か気づくきっかけになった」と同会の神吉道子さん(67)。「自分や家族の状況を、日ごろから地域や仲間と共有できていれば、カバーし合えるし、気持ちも楽になる」と話している。

(広畑千春)

■バリアフリーの高齢者施設やホテルなど■

▽福祉避難所県内862カ所

 災害の発生時、認知症の人ら特別な支援が必要な人の避難先として「福祉避難所」がある。兵庫県によると、県内41市町が計862カ所=昨年9月末時点=を指定。最多は神戸市の351カ所で、三田市と猪名川町、市川町は各1カ所という。

 バリアフリーなどの配慮が整った施設が指定され、862カ所のうち750カ所は高齢者施設や障害者施設などが占める。ほかに、ホテルなど宿泊施設も指定されている。

 ただ、福祉避難所は「2次避難所」と位置づけられており、各市町は「直接、避難はできない」と規定。認知症の人が自宅で被災した場合、まずは近くの小学校など、一般の避難所に行き、保健師らが本人の状況などを確認した上で、福祉避難所への受け入れを決めるという。

 また、福祉避難所の指定とは別に、一般の避難所の中に配慮が必要な人向けの「福祉避難スペース(室)」を設ける動きも進められている。

(中島摩子)

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