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人工心肺装置を扱う加納寛也主任(明石医療センター提供)=明石市大久保町八木、同センター
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人工心肺装置を扱う加納寛也主任(明石医療センター提供)=明石市大久保町八木、同センター
手術や入院患者のケアについて打ち合わせする加納寛也主任(右)と森島毅科長=明石市大久保町八木、同センター
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手術や入院患者のケアについて打ち合わせする加納寛也主任(右)と森島毅科長=明石市大久保町八木、同センター

 「私、失敗しないので」と女医役の米倉涼子さんがたんかを切り、米国帰りのスーパードクター役の木村拓哉さんが脳や心臓の難手術に挑む。テレビドラマは医療ものが大はやり。そんな手術の場に医師や看護師だけでなく、必要不可欠な専門医療職があるのをご存じだろうか。人工心肺などの医療機器を操作するスペシャリスト「臨床工学技士」だ。医療技術の進歩でその役割を増しているという。どんな仕事なのか。社会医療法人明石医療センター(兵庫県明石市大久保町)を訪ねた。(片岡達美)

 同センター臨床工学科主任の加納寛也さん(38)は出勤するとすぐ、前日に手術を受けた患者の容体を確認する。医師の回診に同行し、午前8時には、翌日の手術の打ち合わせ。その日の手術は同8時半に始まり、終わるのが午後3時ごろ。術後ケアを集中治療室で行い、多忙期は次の手術を準備する。さらに機械のメンテナンス、事務処理も-。

 「駆け出しの頃は、昼ご飯が午後10時ということも日常茶飯事でした」と加納さん。主に心臓の手術で人工心肺装置などを扱う専門家で、臨床工学技士としては日本で唯一、心臓血管外科学分野の博士号も取得した。手術や術後の対応について医師から意見を求められることもある。

 勤務する同センターを初めて訪れた日。夕方、救急患者が運び込まれ、急きょ手術に立ち会うことに。さらに、その前に手術をした患者の容体が急変。結局、病院に泊まり込むことになったという。

        ◇  ◇

 臨床工学技士は、1988年施行の臨床工学技士法に基づく国家資格で、医学・工学両方の知識と技術を必要とする。主に総合病院に勤務し、同センターの臨床工学技士は現在、計13人。手術時やカテーテルを使った検査と治療、人工透析の機械操作や管理を担う。

 専門性が高く、例えば、難しい心臓の手術で使う人工心肺の装置は複雑で、まるで飛行機のコックピットのよう。人工心肺に切り替え、手術中、一時的に患者の心臓を止めるのも臨床工学技士が担う。

 医療技術の高度化、複雑化に伴い、なくてはならない存在だが、臨床工学科科長の森島毅さん(45)は「患者さんはわれわれの存在を詳しく知らないでしょう」と苦笑いする。

 「医師にとってもなくてはならない“相棒”」と話すのは同センター副院長で心臓血管外科部長の戸部智さん(57)。技士が機械管理を担う以前は、手術を執刀する医師自身が人工心肺装置などを動かしていたという。90年代後半から、臨床工学技士が病院に配置され、現在のような形になったのはせいぜい2010年ごろからだ。

 戸部医師は「医師も理屈は分かるが、機械の扱いをすべて把握するのは難しい。麻酔科医や看護師らとともにチーム医療の要」と役割の大きさを評した。

■資格者3・9万人、「圧倒的な売り手市場」

 臨床工学技士を目指すには、専門学校では3年、大学では4年間学び、資格試験を受ける。公益社団法人日本臨床工学技士会(東京)によると、国家資格として認定制度が設けられて以降、その取得者は累計約3万9千人に上る。

 現在、専門学校の新卒者が毎年約2千人いるが、いまだに「圧倒的な売り手市場」と、同会専務理事の那須野修一さん。学校によっては新卒者の5~10倍の求人があるという。

 病院だけでなく、医療機器メーカーも新しい機器の売り込みに、技士として精通した人材を求めているという。ただし、臨床経験が必要なため、人材はメーカーにまでなかなか回らないのが現状だ。

 那須野さんは「将来性もやりがいもある職種。認知度を高め、多くの人に興味を持ってもらいたい」と話す。

 【臨床工学技士】人工呼吸器や人工心肺、人工透析器、ペースメーカーといった医療機器を扱う専門職。国家試験に合格して資格を得た技士が、より高度で専門性の高い業務に従事できるよう、日本人工臓器学会などの学会認定資格制度もある。

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