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交流会で悩みを話し合った慢性疲労症候群の患者たち=神戸市中央区加納町6
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交流会で悩みを話し合った慢性疲労症候群の患者たち=神戸市中央区加納町6

 激しい倦怠(けんたい)感や睡眠障害が続き、重症者は寝たきりになる「慢性疲労症候群」(CFS)。まだ客観的な診断基準がないことなどから認知度は低く、患者は公的支援のはざまにあって十分な福祉サービスを受けられていない。5月12日の世界啓発デーを前に、患者の現状を取材した。(森 信弘)

 神戸市役所内で今月、患者・家族の交流会が開かれ、神戸や富山、青森などから約10人が集まった。主催したのは患者や医療者でつくる支援団体「CFS支援ネットワーク」(青森市)。神戸市当局や市会議員らとの懇談会もあり、病気への理解や公的支援を求める声が上がった。

 「インフルエンザの急性期のような状態が日常的に続いている」と話したのは、同市内で母親と暮らす40代女性。関東で暮らしていた十数年前、のどが痛み熱が出て、体調がおかしくなった。しかし、病院で検査を受けても異常は見つからない。同症候群の診断をやっと受けたのは7年前のことだ。

 記憶を保持して何かをすることができず、今は電話で話すこともできなくなった。だが、同症候群は医療費が助成される難病に指定されていない。医師や行政ですら認知度が低く、障害者手帳の取得も進まない。女性は「あらゆる事に困っている。支援制度の中に入りたい、というのが一番の願い」と訴えた。

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 現在は診断・治療ができる医療機関が限られるため、患者にとって通院は負担が大きい。同市内の50代の女性は訪問看護を利用しながら、夫が運転する車で大阪市立大病院へ通院する。「おととしから通院と買い物以外、外出もできない。主人に何かあれば、買い物にも行けなくなってしまう」と不安を口にする。

 体力的に外出しにくいだけでなく、見た目で病気が分かりにくいため患者は周囲に理解されず、内にこもりがちだ。

 交流会は「動作に時間がかかって24時間がすぐ過ぎる」「未来設計ができない」などと悩みを共有する場になった。参加した同市内の30代男性は「なかなか外出ができず、友人がほしかった。インターネット電話で話がしたい」と、他の参加者と連絡先を交換した。

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 同ネットワーク会長の石川真紀さん(45)=青森市=は、障害年金と障害者手帳を取得している。2014年に団体を設立した理由について「役所に申請用紙をもらうだけで苦労した。患者が全国の窓口で戦うとしたらなんて無駄だろうと思った」と語る。

 懇談会では、神戸市保健所の山崎初美調整課長が「他の自治体で支援を受けている方の話を聞かせてもらい、皆さんと福祉サービス向上の方法を探りたい」と話した。

 石川さんは「困っていると声を上げていない患者は多いと思う。ぜひ私たちに連絡してほしい」と呼び掛ける。患者の支援者も募っている。CFS支援ネットワーク(cfs‐sprt.net@outlook.jp)

 【慢性疲労症候群】健康な人が突然全身の倦怠感に襲われ、強い疲労感とともに微熱や頭痛、思考力の障害、抑うつなどが長期にわたって続く原因不明の病気。有効な治療法は確立されていない。国内の患者は推計約8万~24万人(15~65歳未満)で、約3割がほぼ寝たきりとされる。病名が病態を正確に表していないとの指摘から「筋痛性脳脊髄炎(ME)」とも呼ばれ、米国では「全身性労作不耐症(SEID)」という病名も提案されている。

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