医療

医療ニュース
  • 印刷
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
免疫反応に重要な分子について発表する神戸大大学院医学研究科の的崎尚教授(右)と齊藤泰之講師=神戸市中央区楠町7、神戸大病院
拡大
免疫反応に重要な分子について発表する神戸大大学院医学研究科の的崎尚教授(右)と齊藤泰之講師=神戸市中央区楠町7、神戸大病院

 病原体から体を守る免疫反応に欠かせない「樹状細胞」に着目した研究を、神戸大大学院医学研究科の教授らが進めている。中でもこの細胞の表面に存在する「SIRPα(サープアルファ)」というタンパク質の分子が極めて重要な役割を果たしていることが、最近の研究によって明らかになった。将来的には、国内に約70万人もの患者がいるとされる関節リウマチなど「自己免疫疾患」の新しい治療法につながることも期待されるという。(田中陽一)

 同研究科の的崎尚(たかし)教授(60)と齊藤泰之講師(44)による研究で、成果は科学誌「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)の電子版に掲載された。

 体に侵入した病原体に対する免疫反応は、ひ臓やリンパ節など「二次リンパ組織」と呼ばれる器官で主に起きる。的崎教授らによると、樹状細胞は病原体をいち早くキャッチし、他の免疫細胞に攻撃を指示する司令塔のような役割を担っている。

 こうした働きは従来の研究で既に分かっていたが、今回、的崎教授は1996年に自ら発見していたSIRPαに注目。マウスを使った実験でこの分子を樹状細胞から人為的に欠損させたところ、樹状細胞自体や、同細胞が効率よく免疫細胞に指示を出す上で大切な「ストローマ細胞」が、ひ臓で著しく減ることが分かった。

 さらに、樹状細胞が「TNF-α」と呼ばれる物質を作り出すとストローマ細胞が増えることや、この作用にSIRPαが大きく影響していることも判明。樹状細胞による免疫反応には、SIRPαが特に重要であることが確認されたという。

 一方で、免疫細胞が正常な細胞や組織まで攻撃してしまう「自己免疫疾患」の発症には、TNF-αによる炎症反応が関与していることや、SIRPαを欠損させたマウスでは自己免疫疾患の発症が大きく抑制されることも分かっている。

 ただ、樹状細胞からSIRPαをなくすと樹状細胞が減ったり、自己免疫疾患の発症が抑えられたりする詳しい仕組みは、まだ解明に至っていない。的崎教授は「SIRPαを標的にした薬剤や抗体を用いれば、自己免疫疾患に対する新たな治療法となる可能性がある。さらに研究を進めたい」としている。

 関節リウマチは手足に関節の痛みや変形が慢性的に生じる病気。30~50代の女性に多い傾向があり、重症化すれば生活にも支障が生じる。炎症を抑える「TNF阻害薬」を使った治療が有効だが、一部で効果の少ない患者が報告されているほか、他の自己免疫疾患の中には同阻害薬が効かないケースもある。

医療ニュースの新着写真
医療ニュースの最新
もっと見る

天気(2月26日)

  • 12℃
  • 5℃
  • 20%

  • 10℃
  • 0℃
  • 10%

  • 14℃
  • 5℃
  • 30%

  • 14℃
  • 3℃
  • 20%

お知らせ