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医師の横に座り、検査内容などの入力作業を代行する医療クラーク(手前)=神戸市立医療センター中央市民病院
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医師の横に座り、検査内容などの入力作業を代行する医療クラーク(手前)=神戸市立医療センター中央市民病院
患者に示す治療法の説明書。診察中に医療クラークが手早く作成する=神戸市立医療センター中央市民病院
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患者に示す治療法の説明書。診察中に医療クラークが手早く作成する=神戸市立医療センター中央市民病院

 医師の書類作成などを代行する「医療クラーク」。医師が診察や手術に専念できるようサポートし、勤務医の過重労働改善に寄与。患者の待ち時間短縮にもつながる。医療クラーク採用に診療報酬が支払われる制度が導入されて10年目。活用の場は広がっている。一般にはあまり聞き慣れない医療クラークはどんな仕事をしているのか。兵庫県内の病院で取材した。(佐藤健介)

 1日約2千人の外来を受け入れる神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区港島南町2)の診察室。患者を診断した医師が処置を決め、口頭で告げると、赤い制服の女性が素早くパソコンに打ち込む。「検査日は…」。パソコンで予約手続きなどを行い、処置に関する説明書と同意書をあっという間に仕上げて、患者に示した。車いす利用や難聴といった申し送りも漏らさず記入。医師はサインするだけだ。

 「診療が円滑に進むよう臨機応変のフォローを心掛けている」と医療クラークの林野智恵(ちさと)さん(26)。カルテの英語や医師が話す専門用語を勉強し、約5年のキャリアを積み重ねてきた。多い日で約70人もの診察に立ち会うが、笑顔を絶やさない。「患者さんに『元気が出たよ』と感謝されるのが励み」と語る。

 医療クラークの正式名称は「医師事務作業補助者」。医師の書類作成の負担を軽減し、長時間労働を是正しようと、厚生労働省は2008年度の診療報酬改定で、医療クラークの人件費を手当てした。兵庫県の県立病院では約260人が採用されている。

 中央市民病院では約100人を配置。呼吸器内科の中川淳医師(39)は「以前勤めていた病院では医療クラークがおらず、書類作成に何時間もかかった。できるだけ患者さんと向き合って信頼関係を築きたいので、とても助かっている」と有用性を認める。

 機械的に事務を手伝うだけではない。待ち時間の長くなっている患者のそばに歩み寄り「もう少しでお呼びしますよ」と声を掛ける。

 診察で入院が決まれば、検査の種類について医師から指示を受け、その後のスケジュールを患者と直接調整する。医療クラークの伊田有友子(あゆこ)さん(28)は「わかりやすい説明で入院の不安を取り除きたい」と話す。

■研修導入、専門性向上

 政府は3月、残業時間に上限と罰則を設ける「働き方改革」の実行計画を発表したが、医師法は正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」を定め、適用が猶予されている。そこで、厚生労働省は8月に「医師の働き方改革に関する検討会」を発足。2018年度末をめどに方針を取りまとめる。医療クラークの活用推進を求める意見が出ており、今後の議論が注目される。

 資格がないことを不安視する声があるため、研修で専門性を高めて採用する病院もある。京都医療センター(京都市)は09年から最長3カ月の育成コースを実施。書類の代行入力を臨床現場で訓練し、試験に合格すれば本採用となる。これまで約40人が合格した。

 患者の平均待ち時間を約2時間短縮できたという。同センターは「医療クラークは医師と患者とのやりとりをリアルタイムで入力する。カルテの質が上がり、『言った、言わない』のトラブルも防げる」と意義を話す。(佐藤健介)

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