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中村元・助教
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 交通事故やスポーツなどで脳が傷つき、手や足にまひが残る「外傷性脳損傷」の患者の運動機能回復を目指す再生医療の臨床試験(治験)が、全国5カ所の大学病院で行われている。頭部に小さな穴を開け、脳に幹細胞を注入する方法。脳梗塞患者を対象に同じ幹細胞を脳に注入した米国での治験では、動かなかった腕が上がるようになるなどの報告もある。近畿では唯一、大阪大学病院(大阪府吹田市)で実施されており、治験参加者の募集が間もなく締め切られる。(山路 進)

 脳や脊髄などの神経細胞は、一度傷つくと修復できない。現在は外傷の治療後、運動機能の回復にはリハビリ以外の治療法はないとされる。

 治験では、健康な人の骨髄から採取した間葉系幹細胞にヒトの遺伝子を加えて培養した幹細胞を使う。東京の再生医療ベンチャー企業が開発した。

 治験薬の幹細胞は、局所麻酔で頭蓋骨に直径約1センチの穴を開けた後、注射針で脳の損傷部の周辺に注入される。他人に由来する細胞だが、免疫抑制剤は必要なく、手術後約1週間で退院できる。

▽運動機能が改善

 幹細胞の投与量を250万個、500万個、1千万個、ゼロ-の4グループに分け、運動機能がどの程度回復するかを1年間追跡調査する。治験の段階で投与量は伝えられないが、投与量がゼロだった人は、医薬品として承認された後、無償で治療を受けられる。脳に直接針を刺すが、これまでに公表されている米国の治験で、まひが悪化するなどの重大な合併症や副作用の報告はないという。

 運動機能が改善する詳しいメカニズムは分かっていないという。大阪大病院の治験責任者を務める脳神経外科の中村元(はじめ)助教(43)は「投与した幹細胞はしばらくすると消えるが、注入後に栄養因子を出し、脳内の神経幹細胞を活性化させて神経のネットワークをつくっているのではないか」と話す。

▽費用負担なし

 対象となる患者は、脳の損傷から1年以上経過した18~75歳で、手や足に中等度以上のまひがあるなどの条件を満たす人。脳の損傷部が局所的であるなどの条件もあり、磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影(CT)の画像データも確認した上で、治験への参加可否が決まる。患者は原則、治験費用を負担しなくていい。

 日米共同の治験で、予定患者数は両国で計52人。国内では2016年秋から、同大をはじめ、東京、横浜市立、北海道、岡山の各大学病院で行っている。治験参加患者の募集締め切りが迫っているという。

 中村助教は「事故などによる外傷性脳損傷の患者は、働き盛りの30、40代が特に多い。リハビリでも受傷半年後までは効果が期待できるが、その後は難しい。機能の維持のために日々リハビリに励む人の新たな治療法となるよう期待している」と話す。

 治験の問い合わせはコールセンターTEL0120・555475

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