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生きた細胞を使って臓器や組織の基となる構造体を造形するバイオ3Dプリンター=大阪府豊中市の大阪大大学院基礎工学研究科
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生きた細胞を使って臓器や組織の基となる構造体を造形するバイオ3Dプリンター=大阪府豊中市の大阪大大学院基礎工学研究科
皮膚組織を使って完成させた構造体のモデル(境教授提供)
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皮膚組織を使って完成させた構造体のモデル(境教授提供)

 生きた細胞を使って臓器や組織の基となる3次元の構造体を作り出す「バイオ3Dプリンター」で、大阪大の教授らが世界初となる技術を開発した。細胞の入った溶液をインクのように噴出させて瞬時に固め、細胞の機能を維持したまま構造体を作るのが同プリンターの仕組みだが、これまでは軟骨など一部の細胞にしか使えなかった。新技術では、特定の酵素を使うことで応用できる細胞の幅を飛躍的に広げたといい、再生医療の進歩につながりそうだ。(田中陽一)

 大阪大大学院基礎工学研究科の境慎司教授(42)が、富山大大学院理工学研究部の中村真人教授(59)らと共同で開発した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)から分化させた細胞を生かし、患者の必要に応じてさまざまな構造体を作ることも期待できるという。

 家庭などに普及している2次元のインクジェットプリンターは、カートリッジに入った複数のインクを噴出させて紙などに印刷する。境教授によると、インクジェット式のバイオ3Dプリンターは、それぞれのカートリッジに異なる種類の細胞が入っているイメージだ。

 入力された3次元データに基づき、細胞を含む直径0・05ミリ程度の溶液を1滴ずつ積み上げていく。例えば、カートリッジに入っているのが皮膚細胞とそれに適した溶液なら皮膚組織、血管細胞とそれに適した溶液なら血管組織の基となる構造体ができ、それらを同時に行えば、血管の構造を含む皮膚組織を作ることも可能という。

 課題は、細胞の機能を維持したまま、噴出された溶液を瞬時にゲル状に固める手法。有用な溶液としてはヒアルロン酸やコラーゲン、ゼラチンなどが知られていたが、これらを一瞬のうちに固める技術がなかった。

 そこで境教授らが目を付けたのが「ペルオキシダーゼ」と呼ばれる西洋わさびの酵素。この酵素には、微量の過酸化水素と反応して分子などを結合させ固める能力がある。類似の特性を持つ別の酵素も含め、3年がかりで実験を繰り返した結果、ヒアルロン酸などの溶液に、ペルオキシダーゼが作用するのに必要な処理を施せば課題をクリアでき、幅広い細胞に対応可能と分かった。

 実際に皮膚などの細胞でモデルを作って観察したところ、細胞の増殖が確認されたという。

 次の壁はプリンターの改良。より複雑な構造体を作るには、同時にいくつもの溶液を噴出したり、大量の溶液を使えるようにしたりする必要がある。境教授は「関係者と連携し、再生医療をはじめとする生命科学の発展に貢献したい」と話している。

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