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公立豊岡病院但馬救命救急センター長小林誠人さん=豊岡市戸牧、公立豊岡病院
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公立豊岡病院但馬救命救急センター長小林誠人さん=豊岡市戸牧、公立豊岡病院

 救急医がドクターヘリに乗り込み、医療現場に向かう。テレビドラマの「コード・ブルー」を見た方も多いだろう。ドクターヘリは現在、42道府県で52機が配備されている。その中で、出動件数が最も多いのは兵庫県豊岡市の公立豊岡病院だ。2017年度は2166件に上る。率いるのは、但馬救命救急センターの小林誠人センター長。救急医療の経験が豊富なドクターだ。センター長、どんな医療を目指しているのですか?(網 麻子)

 -豊岡病院のドクターヘリは、半径約80キロの地域をカバーすると聞きました。

 「但馬・丹波地域はもちろん、京都府北部、鳥取県東部を含みます。午前8時半から日没の30分前まで運航している。スタッフはありとあらゆる患者さんの治療に当たっています」

 -センター長に就いたのは、病院にドクターヘリが導入された8年前のことですね。

 「当時、私は大阪府済生会千里病院千里救命救急センターにいました。千里では医師が乗り込むドクターカーを119番と同時に呼ぶ方式に変え、一気に救命率が上がった。センター長を打診されたとき、ドクターカーと同じようにドクターヘリを活用すれば、新しいことができると思いました。私自身は鳥取で生まれ育ち、豊岡には父が単身赴任していた。日本海側の救急医療に貢献したいという気持ちもありました」

 「命を救うためには、一刻も早く医師が患者さんに接触し、根本から治すための治療や手術に取りかかることが大切です。救急医療は社会学です。常にリサーチしながら、地域の事情に合ったものを提供していく。昔の開業医の先生のようなイメージです」

 -心掛けたことは何ですか。

 「徹底的にこだわったのは時間です。『息ができない』などいくつかのキーワードを決めて、119番でその言葉が入っていると、消防の救急指令から出動の要請が入る仕組みをつくった。そして現場での滞在時間を短くするため、機内での治療を始めた。(気管にチューブを入れて気道を確保する)気管挿管は全体の75%以上が機内での処置です」

 「私たちのドクターヘリは、119番から医師が接触するまで18分、病院到着まで計37分。救急車の病院到着の全国平均は39・3分です。人を助けるため、みんなで考えた結果です」

 -この8年で但馬地域の救急医療は大きく変わりました。

 「救命率は格段に向上した。8年前はほとんどいなかった救急医が、今は全国から集まって26人になった。2010年4月以降、救急車の搬送も断っていません。救急集中治療科を設け、患者の受け入れから退院まで診ています」

 「ヘリの出動件数が全国トップだと言われますが、ドクターヘリやドクターカーは数字を競うものではありません。大切なのは地域の人に安全と安心をもたらすこと。病院が少なく、医師が少ない地方都市でも安全、安心に暮らせるのは、とても重要なことです。地方における救急医療体制の一つのモデルになればいいと思います」

 -広がればいいですね。

 「やっていることはフルオープンにしています。どんどん、まねてもらったらいい。とはいえ、ここから他の病院に移った医師が同じことをやろうとすると苦労する。患者を中心に考えれば、おのずと答えは出てくるんですけど」

 -今後、何を目指しますか。

 「まずは但馬でやっていることを北近畿全体に広げたい。さらに人口減少を考えれば広域医療圏の確立が必要で、例えば豊岡病院は救命救急というように、圏内の病院が役割を分担し、患者も医療者も集約する。それをつなぐのがドクターヘリであり、ドクターカーです」

 「人は必ず死にますが、もともと生きられるところまで生を全うできるよう、お手伝いできたらいい。人を助けるのは医者の仕事ですから。私は好きなことしかやらない。おそらくこの仕事が合ってるんでしょう」

【こばやし・まこと】1968年鳥取市生まれ。鳥取大医学部卒。兵庫県災害医療センター、大阪府済生会千里病院千里救命救急センター勤務などを経て、2010年1月から現職。

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