医療

医療ニュース
  • 印刷

 災害時、腎機能が低下し人工透析を受けている患者には、長期間治療が受けられない不安がつきまとう。そんな中、災害時に継続しやすい手法として、内臓を覆う薄い膜を通じ血液中の老廃物や余った水分を除く「腹膜透析」が注目されている。患者自身が腹部に透析液を入れるため自宅や避難先でも可能だ。阪神・淡路大震災でも病院が被災したり、避難したりして、通院による透析治療が困難になった事例もあったといい、兵庫県内でも普及しつつある。(佐藤健介)

 「家でもできるのがええね」。腎不全を患う神戸市東灘区の女性(77)は昨年6月から腹膜透析を始めた。毎日朝晩2回、シャツをまくり上げ、へその横から体内に通した管の先を透析液の袋につなぐ。

 きっかけは阪神・淡路の経験。自宅が全壊した当時を思い返し「大災害などでは病院に通えないかもしれない」との不安を感じたという。

 腹膜透析には機械で透析液を自動で出し入れする方法と透析液の袋を自ら交換する方法があり、女性は後者。「手動なので停電に影響されず、安心」と話す。

 女性が受診する甲南病院(同市東灘区)には「血液浄化・腎センター」があり、医師や看護師らが器具の取り付けや使い方を教えてくれた。透析液のストックや感染症を防ぐ薬の常備といった避難時の対応なども記した冊子も渡される。

 ただ、日本透析医学会によると、30万人を超える国内の透析患者のうち腹膜透析は1万人に満たない。同センター部長の藤森明副院長(59)は「医療機関によっては腹膜透析は専門外として対応しないケースもある」と指摘する。

 そこで、国は2018年度診療報酬改定で、腎臓病患者に腹膜透析を含む治療の選択肢を十分説明した場合に報酬を加算することにした。

 藤森副院長には、震災後の停電や断水で血液透析が滞り、透析用ベッドが負傷者で埋まった記憶が鮮明に残る。「患者のライフスタイルを考えたとき、治療法の一つとして、災害に強いとされる腹膜透析を提案することは有用」と話した。

■機器メーカー、手引きを広く公開

 腹膜透析に関し在宅透析機器メーカーは災害時の対応や備えに関するマニュアルを公表している。阪神・淡路大震災を教訓に、透析施設の損壊で治療を受けられない事態を繰り返すまいと啓発を進める。

 機器メーカー「バクスター」(東京)は患者向け手引を冊子やウェブサイトで公開。透析液や交換キットのストックなど持ち出し品をリストアップするほか、避難先では透析の場所や時間を確保するため、患者であることを申し出て相談するよう勧めている。

 また、透析液の保温について、ビニール袋に密封し40度以下の湯につけて保温▽抱いて体温で温める-といった方法を紹介。食事について「不足した熱量を補うために筋肉が分解されると尿毒素が生じる」ことを指摘し、ごはんやパン、ビスケットなどでこまめにエネルギー補給するよう促している。

医療ニュースの新着写真
医療ニュースの最新

天気(4月27日)

  • 16℃
  • 12℃
  • 60%

  • 12℃
  • 9℃
  • 60%

  • 17℃
  • 11℃
  • 60%

  • 14℃
  • 11℃
  • 60%

お知らせ