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「学校関係者や医療従事者にも、この病気への正しい理解を広めたい」と話す中川紀充副院長=明石市松が丘4、明舞中央病院
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「学校関係者や医療従事者にも、この病気への正しい理解を広めたい」と話す中川紀充副院長=明石市松が丘4、明舞中央病院

 スポーツや交通事故などの外傷が原因で発症する「脳脊髄液減少症」という症状がある。体への衝撃で髄液が漏れ、ひどいめまいや頭痛、だるさなどを引き起こす。誰でも身近に起こり得るが、厚生労働省の研究班による診断基準は厳しく、保険適用されないケースも多いという。適用されなければ、長期間多額の治療費を自費でまかなわなければならず、当事者の負担が大きい。診断基準の緩和を求める声もあるが、そのめどは立っていない。(鈴木久仁子)

 神戸市東灘区在住の女子生徒(14)は1年前、中学の体育の授業中、サッカーのドリブルをしていた際、「後方から来た同級生がボールを奪おうと伸ばした足に引っかかり、宙を吹っ飛び腰から落ちた」(女子生徒)という。当日の夜に気分が悪くなり、翌日から強い頭痛を発症。明舞中央病院(明石市)を訪ねると、起き上がるときなどに現れる「起立性頭痛」と診断された。

 脳や脊髄の周囲を覆う硬膜のどこかに穴が開き、脳髄液が漏れる「脳脊髄液減少症」の主症状だ。直ちに入院となった。静かに動かず横たわる「安静臥床(がしょう)」と、点滴する保存的治療を、2週間1クールで3回繰り返した。入院して症状は軽減したものの、退院後に再発を繰り返したため、画像検査などを行い、自分の血液を注射して漏れた所にふたをする「ブラッドパッチ」を3回、計8カ所に施した。症状はやや改善したが、慢性化していった。

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 これまでの治療費はおよそ60万円にもなるが、保険は適用されず、全額自費で支払っている。現在頭痛は大幅に軽減したものの、1日18時間以上昏睡(こんすい)状態のように眠り、記憶力や判断力が落ちる「高次脳機能障害」もあるため、通学はできていない。

 女子生徒が保険適用外となった理由は、厚労省の研究班が定める「『脳髄液の漏出』している『確定・確実』な画像」の撮影が難しいためだ。

 同病院副院長で脳神経外科を専門とする中川紀充医師(58)は「漏出の程度や機械の精度の問題もあり、脳髄液の漏れが不明瞭なことも多い。特に小児や10代など低年齢では、はっきりと漏れた状態が写らないことが多い」と指摘する。

 「たとえ『確定・確実』でなくても、客観的な状況から漏れている可能性が高い場合、ふさぐ治療を施すことで回復する患者も多く、元の生活に戻れている。早ければ早いほど治療の効果も高いが、今の厳しい基準では多くの患者が保険適用を受けられず、負担が大きい。国には現状に見合った見直しを早急に求めたい」と話す。

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 保険の適用外となった女子生徒。学校内の事故に対応する「スポーツ振興センター」の給付金も、保険適用が条件のため支払われず、受けられたのは、学校が入る「安全互助会」(神戸市)からの「一度のケガで上限10万円の入院見舞金」のみ。また、任意加入の保険でも賠償されなかった。

 女子生徒の母は「娘の人生が変わるほどの被害を受けた上、今後の治療費や時間の見通しも立たず、疲労困憊(こんぱい)で限界に近い」と訴えている。

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