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腹腔鏡を使って行う胃切除手術の様子=西宮市武庫川町(兵庫医大提供)
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腹腔鏡を使って行う胃切除手術の様子=西宮市武庫川町(兵庫医大提供)
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 多くの病気に影響を与えるとされる肥満症のうち、より重度な高度肥満症患者の体重を減らすための外科手術に、胃の切除がある。兵庫医科大病院(兵庫県西宮市武庫川町)では、胃の約8割を切り取り、食べられる量を少なくすることなどで減量を促す「腹腔鏡(ふくくうきょう)下スリーブ状胃切除術」を実施。今年2月には県内で初めて、同切除術の保険適用を受けた。(篠原拓真)

 肥満はさまざまな健康被害を引き起こすが、中でも糖尿病の合併率は40%以上とされる。高度肥満を伴う糖尿病は、内服薬やインスリン注射では改善しにくく、同切除術による外科的な治療が注目されている。

 同病院では、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を2017年から開始。18年には、手術を受けることを目標とする専門外来「減量手術外来」も開設した。同病院で同切除術を使った治療の対象となるのは、身長と体重から算出する体格指数(BMI)が35以上▽糖尿病、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のいずれかに罹患(りかん)▽6カ月以上の内科的治療の効果がない-に当てはまる、18~65歳の患者。

 治療ではまず、5~8%の体重減を目標に、通院で医師や管理栄養士などの指導を受けながら、食生活の改善や運動で減量に取り組む。その後入院し、手術を受ける。同病院上部消化管外科の倉橋康典講師(47)は「手術までは平均5~6カ月かかる」と説明する。

 手術では、腹部に空けた5~15ミリほどの穴から、内視鏡や鉗子(かんし)といった手術器具を入れて胃を切除する。約8割を切り取って容量を小さくするため、3~4口(約100cc)食べれば満腹を感じるようになるという。このため術後は食事の摂取エネルギーが減り、同病院は「平均30%の減量につながる」とする。

 また、胃からは食欲を刺激するホルモン「グレリン」が分泌され、グレリンには血糖値を下げるインスリンの分泌を抑える作用もある。このため手術で胃の大半を切除することでグレリンが減り、結果的に糖尿病の改善にもつながるとされる。手術後に糖尿病の内服薬やインスリン注射の量が減少したり、不要となったりした報告も数多くあるという。

 一方で倉橋講師は「手術ですぐにやせるわけではない。あくまでも減量するためのきっかけ」と強調する。胃を切除してもおおむね25~35%の患者が、術後の最低体重から15%以上の体重増加を経験するといい、「やせようと努力し続けることが大切。その努力を支える方法が胃切除術だ。患者さんの努力が良い結果になるよう、チームとしてサポートしていく」と力を込めた。

【肥満症・高度肥満症】 日本肥満学会は2000年に、体の状態を示す「肥満」と、肥満に関連した病気があって医学的な観点から減量を必要とする「肥満症」を区別するようにした。「肥満症」は、体格指数(BMI)が25以上で、脂質異常症や高血圧といった11種類の肥満関連疾患を一つ以上発症するか、内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上ある場合と定義し、中でもBMIが35以上の場合を「高度肥満症」と名付けた。

 日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2016」では、肥満症の場合は現体重の3%以上、高度肥満症は5~10%をそれぞれ減量目標としている。18年には、同学会や日本内科学会など国内23学会が共同で、肥満症の撲滅を目指して協働することを盛り込んだ「神戸宣言」を採択した。

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