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大石醒悟医師(右端)や坂下明大医師(右から2人目)ら緩和ケアチームのメンバー=姫路市西庄、兵庫県立姫路循環器病センター
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大石醒悟医師(右端)や坂下明大医師(右から2人目)ら緩和ケアチームのメンバー=姫路市西庄、兵庫県立姫路循環器病センター
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 終末期患者の身体・精神的苦痛を和らげる「緩和ケア」を、心臓のポンプ機能が低下する「心不全」の分野でも充実させる動きが兵庫で進んでいる。がん患者への緩和ケアは広がってきたが、重症化した心不全でも、最期を意識した医療支援が重要になることはあまり知られていない。いち早く必要性に着目した県立姫路循環器病センター(姫路市西庄)は2015年に「患者支援・緩和ケアチーム」を発足させ、独自に心不全患者へのケアに取り組んでいる。(井沢泰斗)

 心不全は心臓の働きが不十分となり起こる症状の総称。5年生存率は50%とされる。国は18年度からがんやエイズに加え、末期心不全患者に医療機関が施す緩和ケアを診療報酬の加算対象にした。「高齢化で心不全患者は増える。医療関係者は緩和ケアについて知っておく必要がある」。同センター循環器内科の大石醒悟医師(39)が強調する。

 同センターでは、神戸大医学部付属病院(神戸市中央区)の緩和医療専門医である坂下明大医師(44)と共にチームを設け、勉強会を重ねながら患者支援に取り組んできた。

 世界保健機関(WHO)が14年に発表した報告書によると、終末期に緩和ケアを必要とする疾患は、心不全を含む心血管疾患が38%で、がんの34%を上回る。重症化して死が避けられなくなった終末期に、呼吸困難や精神的苦痛から緩和ケアを求める患者は多い。一方で、終末期医療に通じた心不全の専門医や、がん患者以外に対応した経験を持つ緩和ケアの専門医は少なく、医療側の体制は整っていない。背景の一つには、がんとの違いがある。

 「心不全は、改善と悪化を繰り返しながら機能が緩やかに低下する」と大石医師。余命が見通しにくく、治療中止の判断が難しい。このため患者や家族と対話を重ね、意思決定を支えることも重要で「チームで切れ目のない医療、ケアの提供が求められる」とする。

 取り組みは広がりつつある。大石、坂下両医師らが発起人となり5月中旬、神戸市内で、心不全の緩和ケアの在り方を探る研究会が開かれた。近畿や中四国などから約200人が集まり、接点の少なかった循環器の医療関係者と緩和ケアの専門家が意見を交わした。

 今後も年2回のペースで開き、講義や症例検討を通じてノウハウを共有する予定。坂下医師は「各地の関係者が出会い、ネットワークが広がれば」と期待する。

■意思決定の時期難しく 身体機能緩やかに低下■

 世界保健機関(WHO)は、緩和ケアの対象を「生命を脅かす疾患」の全般とする。病気の種類や病状によらず、患者や家族の苦痛を取り除き、クオリティー・オブ・ライフ(生活の質)を改善することを指す。

 一般的には、余命宣告を受けた患者に行われるイメージが強い。ただ急速に死へと至ることが多いがんと、身体機能が緩やかに低下する「非がん疾患」ではアプローチも異なる。兵庫県立姫路循環器病センターの大石醒悟医師は「心不全の患者が(呼吸苦などが起きる)終末期に意思決定するのは難しい。緩和ケアは治療が始まった段階から徐々に導入すべき」とする。

 心不全は症状が改善した経験を持つ患者も多い。完治への希望を失わせないため、「全力で治療したいと伝えた上で『万一悪くなった場合に備えませんか』という対応が大切」と神戸大医学部付属病院の坂下明大医師は話す。

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