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「“当たり前”のありがたさが分かるがん経験者は職場の戦力」と力を込める樋口強さん=神戸市中央区
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「“当たり前”のありがたさが分かるがん経験者は職場の戦力」と力を込める樋口強さん=神戸市中央区
「自分が知りたかったことをまとめた」と話す辻本由香さん=大阪市北区
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「自分が知りたかったことをまとめた」と話す辻本由香さん=大阪市北区
「がんでも働きたい」(右)と「がんを生きぬくお金と仕事の相談室」
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「がんでも働きたい」(右)と「がんを生きぬくお金と仕事の相談室」

 がんを乗り越えてライフワークを見つけた兵庫県出身の作家とファイナンシャルプランナー(FP)が、それぞれ「がんと就労」を題材にした本を出版した。厳しい闘病生活の中で得た経験を基に、再発の不安や仕事に対する意欲の変化、経済的な負担を軽くするための制度などを紹介。増加傾向にある働く世代のがん患者に「仕事と治療の両立をあきらめないで」と強いメッセージを発信する。(貝原加奈)

 日本人の2人に1人が発症するといわれるがん。厚生労働省によると、仕事をしながら治療を続けている人は全国で約32万5千人に上る。一方で、治療のための長期休暇を取れない▽体力に自信がなくなった▽職場に迷惑をかける-などの理由で離職する人も約3割いるとされる。

 兵庫県姫路市出身の作家、樋口強さん(66)=東京都=は1996年、肺がんと診断された。大手化学企業で新規事業の企画室長を任されていたが、「3年生存率は5%」という担当医の一言で、生活が一変した。職場を離れ、治療のための長い入院生活が始まった。

 「もう生きられないかもしれない」。そんな中、つらい抗がん剤治療やリハビリを支えたのは「またあの満員電車に乗りたい」という強い思いだった。1年間の闘病を経て、職場復帰を果たした。

 診断から5年後、「生きられた記念に」と、自身の入院中のエピソードなどを趣味の落語で披露する「いのちの落語独演会」を開いた。反響は大きく、いのちの落語家として、今も年1回の独演会を続ける。

 抗がん剤治療の後遺症などで、2004年に退社してからは、執筆・講演活動に力を入れる。10冊目となる今回の著書「がんでも働きたい」(佼成出版社、1620円)には、職場に復帰できた時の喜びと決意、職場の同僚の優しい配慮など、治療と仕事を両立するためのヒントをちりばめた。

 樋口さんは「生きて何がしたいのかを考えるきっかけになれば」と話している。

 神戸市出身のFP辻本由香さん(51)=奈良市=は、「がんを生きぬくお金と仕事の相談室」(河出書房新社、1620円)を出版。働く世代ががんになった時の経済的な負担や、役立つ制度などについてまとめた。

 辻本さんは、FPとして生涯できる次の仕事を見つけたいと、勤めていた会計事務所を退職した43歳の時に乳がんと告知された。「命の不安を抱えたまま、お金はどんどん減り、夫や母親からは休めと言われイライラばかり募った」。周囲の患者も同じように仕事や治療費のことで悩んでいたという。

 その経験から、著書では、傷病手当金など仕事を続けるのに役立つ社会保障制度や医療費控除、がん保険と医療保険の違いなどを分かりやすく紹介。がん相談支援センターや情報収集のためのウェブサイトなどもまとめた。

 辻本さんは「がんになっても人生は続いていく。使える制度を知らないまま仕事を辞めないで」と訴える。

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